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2018年01月23日
EUソルベンシーIIにおけるLTG措置等の適用状況とその影響(2)-EIOPAの2017報告書の概要報告-
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(4)内部モデルにおけるVAの取扱
SCRを計算するために内部モデルが使用される場合、VAについて2つの異なる取扱が行われている。
いくつかの内部モデルでは、VAは次の12ヶ月間変化しない(固定VA)とみなされる。このアプローチは、SCR計算のための標準式におけるVAの処理と同じである。
他の内部モデルでは、今後12ヶ月間のVAの変化の可能性を考慮(動的VA、ダイナミックVA)している。 VA計算の基礎となる市場指標のスプレッドが変化したり、VAへのリスク修正が変化するため、VAは時間とともに変化する。さらには、VA計算で適用される代表資産ポートフォリオの年次更新に反映される形で保険及び再保険会社の投資行動が変化することにより、VAは変化する。
VAが会社の資産のスプレッドに沿って動く場合、動的VAのモデリングは、保険会社の自己資金に対するスプレッドの拡大及び縮小の効果を減少させる。スプレッドの拡大によって生じる資産価値の減少は部分的に又は完全にVAの変化による技術的準備金の減少によって補填される。同様に、より狭いスプレッドによって生じる資産価値の増加が補填される。その結果、動的VAモデルが使用されている場合、固定VAが使用されている場合よりもスプレッド拡大のリスクに対する資本要件が、通常より低くなる。
EIOPAは、2017年に動的VAを含む内部モデルを分析した。この分析では、5つの国に本社を置く7つの保険グループの内部モデルを対象にし、特に動的VAのモデル化が2016年末のグループ又はいくつかの会社のソルベンシーポジションに与える影響を評価した。比較可能な数値を提供したグループ及び会社のサンプルについて、動的VAのモデリングは、固定VAを使用して得られる資本要件の約半分となるスプレッドリスクの資本要件をもたらす。動的VAで得られた全体的なSCRは、固定VAで計算されるSCRの69%から94%の範囲にある。固定VAの使用と比較して、動的VAの使用はSCR比率を15~62%ポイント増加させた。
この分析では、動的VAへのモデリングアプローチ、特に将来のVAの計算方法とそれらがバランスシートでどのように考慮されるか、が内部モデル間で異なっていることが示された。参加しているグループ間の考え方は、動的VAのモデリングがよりリスクの高い資産に向かうインセンティブを生むかどうか、そしてVA計算の基礎となる代表資産ポートフォリオに向かう群衆行動を促進するかどうか、について分かれている。
EIOPAは、2017年11月に、動的VAを含む内部モデルの監督評価について意見を提出している3。
SCRを計算するために内部モデルが使用される場合、VAについて2つの異なる取扱が行われている。
いくつかの内部モデルでは、VAは次の12ヶ月間変化しない(固定VA)とみなされる。このアプローチは、SCR計算のための標準式におけるVAの処理と同じである。
他の内部モデルでは、今後12ヶ月間のVAの変化の可能性を考慮(動的VA、ダイナミックVA)している。 VA計算の基礎となる市場指標のスプレッドが変化したり、VAへのリスク修正が変化するため、VAは時間とともに変化する。さらには、VA計算で適用される代表資産ポートフォリオの年次更新に反映される形で保険及び再保険会社の投資行動が変化することにより、VAは変化する。
VAが会社の資産のスプレッドに沿って動く場合、動的VAのモデリングは、保険会社の自己資金に対するスプレッドの拡大及び縮小の効果を減少させる。スプレッドの拡大によって生じる資産価値の減少は部分的に又は完全にVAの変化による技術的準備金の減少によって補填される。同様に、より狭いスプレッドによって生じる資産価値の増加が補填される。その結果、動的VAモデルが使用されている場合、固定VAが使用されている場合よりもスプレッド拡大のリスクに対する資本要件が、通常より低くなる。
EIOPAは、2017年に動的VAを含む内部モデルを分析した。この分析では、5つの国に本社を置く7つの保険グループの内部モデルを対象にし、特に動的VAのモデル化が2016年末のグループ又はいくつかの会社のソルベンシーポジションに与える影響を評価した。比較可能な数値を提供したグループ及び会社のサンプルについて、動的VAのモデリングは、固定VAを使用して得られる資本要件の約半分となるスプレッドリスクの資本要件をもたらす。動的VAで得られた全体的なSCRは、固定VAで計算されるSCRの69%から94%の範囲にある。固定VAの使用と比較して、動的VAの使用はSCR比率を15~62%ポイント増加させた。
この分析では、動的VAへのモデリングアプローチ、特に将来のVAの計算方法とそれらがバランスシートでどのように考慮されるか、が内部モデル間で異なっていることが示された。参加しているグループ間の考え方は、動的VAのモデリングがよりリスクの高い資産に向かうインセンティブを生むかどうか、そしてVA計算の基礎となる代表資産ポートフォリオに向かう群衆行動を促進するかどうか、について分かれている。
EIOPAは、2017年11月に、動的VAを含む内部モデルの監督評価について意見を提出している3。
3―まとめ
以上、今回のレポートでは、EIOPAの報告書に基づいて、ソルベンシーIIにおける欧州保険会社のLTG措置や株式リスク措置の適用実態とその財政状態に与える影響について、主として第3のセクションから、UFRの使用、MA及びVAの適用状況について、その国別の適用会社数やSCR比率への影響等を報告してきた。
VAは多くの国で、生命保険・損害保険会社を問わず、幅広く使用されているが、MAは英国とスペインの2カ国の会社に限定されている。ただし、前回のレポートで報告したように、これら2カ国、特に英国の保険会社がMAの適用によって受けている影響は、VA適用会社全体に匹敵するものとなっており、これらの2カ国、特に英国におけるMAの位置付けの重要性が際立った形になっている。
次回の3回目のレポートでは、EIOPAの報告書の第3のセクションから、TTP(技術的準備金に関する移行措置)とTRFR(リスクフリー金利に関する移行措置)という移行措置及びDBER(デュレーションベースの株式リスクサブモジュール)、ED(株式リスクチャージの対称調整メカニズム)の株式リスク措置及びERP(ソルベンシー資本要件に準拠しない場合の回復期間の延長)の適用状況について、その国別の適用会社数やSCR比率への影響等を報告する。
VAは多くの国で、生命保険・損害保険会社を問わず、幅広く使用されているが、MAは英国とスペインの2カ国の会社に限定されている。ただし、前回のレポートで報告したように、これら2カ国、特に英国の保険会社がMAの適用によって受けている影響は、VA適用会社全体に匹敵するものとなっており、これらの2カ国、特に英国におけるMAの位置付けの重要性が際立った形になっている。
次回の3回目のレポートでは、EIOPAの報告書の第3のセクションから、TTP(技術的準備金に関する移行措置)とTRFR(リスクフリー金利に関する移行措置)という移行措置及びDBER(デュレーションベースの株式リスクサブモジュール)、ED(株式リスクチャージの対称調整メカニズム)の株式リスク措置及びERP(ソルベンシー資本要件に準拠しない場合の回復期間の延長)の適用状況について、その国別の適用会社数やSCR比率への影響等を報告する。
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(2018年01月23日「保険・年金フォーカス」)
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