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EUソルベンシーIIにおけるLTG措置等の適用状況とその影響(1)-EIOPAの2017報告書の概要報告-
中村 亮一
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MA、VA、TRFR、TTPのうちの少なくとも1つの措置を適用している会社ベースでみると、措置の非適用によるSCR比率への影響は、EEA全体及び国別に、以下の通りとなっている。
EEA全体では、SCR比率は、適用前の217%から148%に69%ポイント低下する。
これを国別に見てみると、低下する絶対的な「%ポイント」水準が最も大きいのはドイツで、341%から228%に113%ポイント低下する。次が英国で、154%から47%に108%ポイント低下する。デンマークは314%から234%に80%ポイント低下し、スペインは223%から147%に76%ポイント低下する。一方で、主要国では、フランスは198%から167%への30%ポイントの低下、イタリアは218%から208%へのわずか10%ポイントの低下に留まっている。
影響度を割合で見てみると、英国が154%から47%へと、適用時の31%の水準に低下して、最も大きな影響を受けている。続いて、ポルトガルで152%から86%に57%の水準に低下する。前回の報告書では英国に次いで影響度が大きかったドイツは、前回の報告書での47%に比べて67%の水準に影響度が低下している。
なお、英国とポルトガルのSCR比率が、各種措置の非適用ベースでは、100%を下回っている。特に、英国においては、各種措置の非適用ベースのSCR比率は47%と加盟国中の最低水準となる。さらに、各種措置の非適用ベースのSCR比率は、ギリシャが114%、オランダが116%と低くなっている。
MA、VA、TRFR、TTPのうちの少なくとも1つの措置を適用している会社ベースで、措置の非適用による適格自己資本やSCR への影響については、以下の図表の通りである。
EEA全体では、適格自己資本は19.1%減少し、SCRは18.4%増加する。
国毎に、さらに適格自己資本とSCRのそれぞれの影響度は、どの措置を適用しているのかによって異なってくる。ドイツや英国はいずれの影響度も2桁以上で高いが、フランスとイタリアの影響度は1桁である。さらに、スペインやポルトガルはSCRの影響度は低いが、適格自己資本への影響度は高い。一方で、デンマークやオランダはSCRへの影響度が高くなっている。
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