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高齢世帯における家計の状況-就業状況・資産運用により異なる高齢世帯の家計収支
生活研究部 井上 智紀
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1――はじめに
総務省統計局「国勢調査」によれば、2015年時点の高齢化率は26.3%と、今や国民の4人に1人が65歳以上の高齢者となっている。こうした人口の変化を受けて、世帯としても高齢化は進んでおり、世帯主65歳以上の高齢世帯は2000年時点の1,114万世帯から2015年には1,881万世帯へと、この15年間に768万世帯増加している(図表- 1)。この間、総世帯数は5年ごとに2~5%程度の増加に留まっているのに対し、同期間に高齢世帯では一貫して10%以上、高齢単身世帯では20%以上、それぞれ増加を続けている。総世帯に占める割合でみても、高齢世帯が占める割合は、2000年の23.8%から35.3%へと増加しており、今や3世帯に1世帯が世帯主65歳以上の高齢世帯となっている。世帯単位でみれば、わが国の高齢化は人口でみる以上に進んでいるといえるだろう。
本稿では、高齢世帯における近年の消費動向に焦点をあて、世帯員2人以上の勤労者世帯および無職世帯の1か月あたりの収入および消費支出(いずれも年平均)について、直近5年間の推移を概観していく。なお、以降の分析にあたっては、特に断りのない限り、総務省統計局「家計調査」を対象としたオーダーメイド集計を利用して入手したデータを使用する。
2――所得・可処分所得の状況
初めに、勤労者世帯の勤め先収入(物価調整済み、以下同じ)の状況についてみると、65~69歳では2012年の26.3万円から2016年には25.9万円と、若干の変動はあるもののほぼ横ばいとなっているのに対し、70歳以上では26.0万円から20.8万円と、5.2万円減少している(図表- 4左)。無職世帯において主要な収入源となる公的年金給付の状況についてみると、無職世帯では65~69歳(19.1万円→17.1万円)、70歳以上(20.5万円→18.3万円)とそれぞれ2万円程の減少1に留まっているのに対し、勤労者世帯では65~69歳(22.0万円→12.8万円)、70歳以上(27.9万円→19.4万円)と、いずれも大幅に減少している(図表- 4右)。
1 標準的な年金受給世帯の年金額(夫婦の基礎年金+夫の厚生年金/夫が平均的収入(平均標準報酬月額(賞与を除く))で40年間就業し、妻がその期間全て専業主婦であった世帯が受け取り始める場合の額)についてみても、2016年における物価調整済みの年金額(月額換算)は221,726円と2012年(242,075円)に比べ2万円ほど減少している。〔出所:厚生労働省「平成29年版厚生労働白書」〕
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