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1――見かけだけの安定
2――持続不能な均衡
雇用の確保と物価の安定は経済政策の重要な目標だ。人手不足が叫ばれるほど失業率が大きく低下し、緩やかながら物価上昇が起こっている現状は、財政・金融政策を駆使して経済の均衡を実現しているとも言える。しかし、慢性的な病気の場合には薬を飲み続けて病気と共存するということもあるだろうが、大幅な財政赤字を著しい金融緩和で賄うことは、いつまでも続けられるものではなく、持続不能な均衡だ。
3――見えにくいところで蓄積する圧力
しかし、表面の均衡とは裏腹に見えにくいところで圧力が蓄積し、一見小さなできごとがきっかけとなって見かけの均衡は大きく崩れてしまう。米国の住宅バブルでは、大量の移民の流入があることが、住宅価格上昇が続くと信じられた理由だった。日本のバブルでは、国際化でオフィスが不足するのに東京の土地は限られているということが、地価が高騰を続けると信じられた理由だった。現在は、日本の人口が増加から減少に転じたために、デフレは続き政府債務が累積しても金利が上昇して困ることは無いというストーリーを多くの人が信じるようになった。
しかし、現在のままでは人口高齢化が進むために社会保障制度も維持が困難になるはずで、財政赤字はさらに拡大し政府債務が膨張してしまう恐れが大きい。財政赤字をまかなう資金繰りの圧力は高まって、どこかで限界に達するはずだ。
4――求められる軌道修正
日本の経済政策は、持続不能な均衡を何とか維持しようという方針から、軌道修正を行なうべき時期に来ている。
客員研究員
櫨(はじ) 浩一 (はじ こういち)
研究・専門分野
(2017年08月31日「エコノミストの眼」)
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