2017年08月22日

EIOPAがソルベンシーIIレビューに関する第1の助言セットについてのCPを公表(2)-政策オプションの影響評価-

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2|標準式における外部信用格付けへの依存度の低減
(1)政策オプション
ECAI(External Credit Assessment Institution:外部信用評価機関)の使用の可能性のある選択肢について、オプション1 (内部信用評価の使用)、オプション2 (市場における暗黙の格付の使用)、オプション3(会計ベースの措置の使用)、オプション4 (簡素化の使用)(特定の種類のエクスポージャーについて、信用力を区別せずに標準式のリスクチャージを計算)、の4つのオプションを評価した。

9.5.1.政策オプション
609. SCR標準式算定のために外部信用格付けへの依存を減らすことを目的として、ECAIの使用の可能性のある選択肢について議論した。

609. 特に以下のオプションが検討された:
a.オプション1 - 内部信用評価の使用:(再)保険会社は、エクスポージャーの信用度を自己評価する。
b.オプション2 - 市場における暗黙の格付の使用:エクスポージャーの信用度は、金融市場で入手可能な情報を通じて導出される。
c.オプション3 - 会計ベースの措置の使用:エクスポージャーの信用度は、財務書類又は会計帳簿で入手可能な情報を通じて導出される。
d.オプション4 - 簡素化の使用:特定の種類のエクスポージャーについて、信用力を区別せずに標準式のリスクチャージを計算する。

(2)オプションの比較
分析の結果、全てのオプションは、外部格付けへの依存を減らすという利点がある一方で、重大な欠点もあり、結果として好ましいオプションはオプション4(簡素化の使用)である、としている。

内部信用評価オプションが、システミックリスクとプロシクリカリティを低下させる観点から最も有望な選択肢と思われるが、この段階では、全ての(再)保険会社に対して、全てのエクスポージャーに対する信用評価のための複雑な枠組みの策定を要求することは、不均衡になるという理由から、このアプローチをさらに発展させる助けとなるガイダンスを提供することを選択した、としている。

9.5.3.オプションの比較
619.考慮されている全てのオプションは、外部格付けへの依存を減らすという利点がある。しかし、(上記で概説したように)それぞれの選択肢について重大な欠点がある。

620.内部信用評価オプションは、システミックリスクとプロシクリカリティを低下させる観点から最も有望な選択肢と思われる。しかし、この段階では、全ての(再)保険会社に対して、全てのエクスポージャーに対する信用評価のための複雑な枠組みの策定を要求することは、不均衡になる。そのため、我々はこのアプローチをさらに発展させる助けとなるガイダンスを提供することを選択した。

621.好ましいオプションはオプション4(簡素化の使用)である。全ての(再)保険会社が簡素化を用いることは、(再)保険会社の信用リスクを増加させる。一方、それは簡便であり、ある場合には比例するかもしれない。それをオプションにし、特定のケースに使用を制限することによって、それは、比例性に関する第88条の枠組みの中での簡素化された計算を考慮している、ことから選択された。その目的は短所を相殺することである。

3|保証、第三者による保証エクスポージャー、地域政府及び地方自治体(RGLA)へのエクスポージャーの取扱の銀行の枠組みとの整合性の確保等
(1)政策オプション
4つの政策課題を挙げて、それぞれに対して、2つずつのオプションを検討した。
「政策課題1:市場リスクモジュールにおける同じリスクを持つ加盟国の中央政府とRGLAによる保証の取扱の調整」については、オプション1.1(加盟国の中央政府による保証のための調整)とオプション1.2 (調整なし)について検討した。

「政策課題2:加盟国の中央政府とは異なるリスクを伴う加盟国のRGLAのための中間取扱の導入」については、オプション2.1(ITS(EU)2015/20112に列挙されていないRGLAへのエクスポージャーのための取扱と、信用度ステップ2の国内通貨建てでファンディングされている非EEAの中央政府及び中央銀行へのエクスポージャーの取扱の調整)とオプション2.2(調整なし)について検討した。

「政策課題3:委任規則第191条に準拠したモーゲージと同じリスクを有する加盟国の中央政府とRGLAによる保証の認識」については、オプション3.1 (委任規則第191条の要件を満たすモーゲージのITS(EU)2015/2011に列挙されている加盟国の中央政府及びRGLAによる保証の認識)とオプション3.2 (認識せず)について検討した。

「政策課題4:委任規則第191条に定義されているモーゲージの部分保証によるリスク軽減効果の認識」については、オプション4.1(加盟国の中央政府又はITS(EU)2015/2011に列挙されているRGLAによって提供される委任規則第191条の要件を満たすモーゲージローンに関する無条件かつ取消不能な部分保証に対する部分的な保証の認識)とオプション4.2(認識なし)について検討した。

9.6.1.政策オプション
622.EIOPAは、保証、第三者によって保証されたエクスポージャー、RGLAへのエクスポージャーに関するこの助言の開発中に、様々な選択肢が検討され議論される4つの主要な政策課題を特定した。
•政策課題1:市場リスクモジュールにおける同じリスクを持つ加盟国の中央政府とRGLAによる保証の取扱の調整
•政策課題2:加盟国の中央政府とは異なるリスクを伴う加盟国のRGLAのための中間取扱の導入
•政策課題3:委任規則第191条に準拠したモーゲージと同じリスクを有する加盟国の中央政府とRGLAによる保証の認識
•政策課題4:委任規則第191条に定義されているモーゲージの部分保証によるリスク軽減効果の認識

政策課題1:市場リスクモジュールにおける同じリスクを持つ加盟国の中央政府とRGLAによる保証の取扱の調整
623.分析の間、以下の主な選択肢が検討された:
•オプション1.1 - ITS(EU)2015/2011に列挙されているRGLAによる保証のための取扱の、市場リスクモジュールにおける、加盟国の中央政府による保証のための調整
•オプション1.2 - 調整なし(即ち、委任規則に変更はない)

政策課題2:加盟国の中央政府とは異なるリスクを持つ加盟国のRGLAのための中間取扱の導入
624.分析の間、以下の主な選択肢が検討された:
•オプション2.1 – ITS(EU)2015/2011に列挙されていないRGLAへのエクスポージャーのための取扱と、信用度ステップ2の国内通貨建てでファンディングされている非EEAの中央政府及び中央銀行へのエクスポージャーの取扱の調整
•オプション2.2 - 調整なし(即ち、委任規則に変更はない)

政策課題3:委任規則第191条に準拠したモーゲージと同じリスクを有する加盟国の中央政府とRGLAによる保証の認識
625.分析の間、以下の主な選択肢が検討された:
•オプション3.1 - 委任規則第191条の要件を満たすモーゲージのITS(EU)2015/2011に列挙されている加盟国の中央政府及びRGLAによる保証の認識
•オプション3.2 - 認識なし(即ち、委任規則に変更はない)

政策課題4:委任規則第191条に定義されているモーゲージの部分保証によるリスク軽減効果の認識
626.分析の間、以下の主な選択肢が検討された:
•オプション4.1 -加盟国の中央政府又はITS(EU)2015/2011に列挙されているRGLAによって提供される委任規則第191条の要件を満たすモーゲージローンに関する無条件かつ取消不能な部分保証に対する部分的な保証の認識
•オプション4.2 -認識なし(即ち、委任規制に変更はない)

 
2 前回のレポートでは、原文に従って、「欧州委員会規則(Commission Implementing Regulation )(EU)2015/2011」としていたが、今回のレポートでは、同じく原文に従って、「ITS(Implementing Technical Standards)(EU)2015/2011」としている。「欧州委員会規則(EU)2015/2011」は、RGLAのリストに関する適用実施基準(ITS)を規定している。
(2)オプションの比較
分析の結果、全ての政策課題に関して、調整や認識を行わない2点目のオプションは採用せずに、便益とコストの比較に基づいて、1点目のオプションで対応することが好ましい選択肢であるとしている。

9.6.3.オプションの比較
643.政策課題1(市場リスクモジュールにおける同じリスクを持つ加盟国の中央政府とRGLAによる保証の取扱の調整)に関して、好ましい選択肢は、便益とコストの比較に基づくオプション1.1(調整)である。

644.政策課題2(加盟国の中央政府とは異なるリスクを持つ加盟国のRGLAのための中間取扱の導入)に関して、好ましい選択肢は、便益とコストの比較に基づくオプション2.1(中間取扱)である。

645.政策課題3(委任規則第191条に準拠したモーゲージと同じリスクを有する加盟国の中央政府とRGLAによる保証の認識)に関して、好ましい選択肢は、便益とコストの比較に基づくオプション3.1(認識)である。

646.政策課題4(委任規則第191条に定義されているモーゲージの部分的保証によるリスク軽減効果の認識)に関して、好ましい選択肢は、便益とコストの比較に基づくオプション4.1(認識)である。

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中村 亮一

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