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景気ウォッチャー調査(17年7月)~盛夏商材の売れ行きが好調も、九州北部豪雨の影響で景況感は小幅の悪化~

白波瀨 康雄
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1.景気の現状判断DI(季節調整値):小幅ながら4ヵ月ぶりの悪化
今回の調査では、家計関連は、例年より気温の高い日が多く雨も少なかったため、小売店を中心に飲料水やエアコンなどの盛夏商材の売れ行きが好調だったことが景況感を押し上げた。また、自動車販売も新型車効果もあり好調を維持している。企業関連は、増加基調にあった受注量に伸び悩みの動きがみられる。なお、景気の現状判断DI(季節調整値)を全国11地域別にみると、7月上旬の豪雨の影響を受けた九州地方は前月から▲3.7ポイント(6月:50.0→7月:46.3)の大幅悪化となり、全体の景況感を押し下げた。
2.盛夏商材の売れ行きが好調

住宅関連では、「分譲マンションのモデルルームを訪れる客の購入決定までにかかる時間が長くなってきている」(北海道・住宅販売会社)や「客の動きはコンスタントにあるが、契約件数と契約額共に横ばいである。新規客の商談件数は増えておらず、現在の状態が続きそうである」(北陸・住宅販売会社)など住宅の購入に慎重な消費者が増えているようだ。
企業動向関連では、製造業(前月差▲1.6ポイント)、非製造業(同▲1.5ポイント)ともに悪化した。コメントをみると、「取引先工場等の稼働率が回復してきている様子で、受注量が増えてきている」(南関東・その他サービス業[廃棄物処理])など受注の増加に言及するコメントが引き続きみられたが、「ここ3か月の受注量が極端に減ってきている。毎年、夏の需要は減る傾向にあるが、想定以上に減少している。周囲からも良い声は聞こえてこない」(近畿・出版・印刷・同関連産業)や、「既存取引先の受注の落ち込みが大きく、新規取引先からの案件でカバーしきれない」(北関東・一般機械器具製造業)など、受注の伸び悩みを指摘するコメントも目立った。
雇用関連では、「新規求人数は増加が続き、人手不足対策としての正社員の求人も増加傾向となっている。企業からは、業績が好調との声も徐々に増えている」(近畿・職業安定所)など強まる人手不足を受けてより待遇の良い求人条件を提示する企業がみられる。一方で、「企業の採用意欲の低下が見られる。引き続き人員不足ではあるが、募集しても採用ができない期間が続いているため、繁忙期ではない時期には現存人員で業務を行えるように仕組化したり生産性向上施策に注力しているようである。採用に対しての積極性は低下している」(九州・人材派遣会社)など人手が確保できないなか、生産性の向上に取り組む企業もみられる。
なお、九州地方では「九州北部豪雨の影響で年度初めに予定されていた案件が延期になった。発注者が豪雨調査対策に追われ、出件の延期で売上も延期となる」(九州・金属製品製造業)や「7月上旬の九州北部豪雨により被災地周辺からの来客数減少と近郊地区住民の購買意欲の低下は明らかで、来客数、売上共に大きな打撃を受けた」(九州・百貨店(営業統括))など、豪雨の影響で企業活動に支障が生じたり、客足が遠のいている。
(2017年08月09日「経済・金融フラッシュ」)
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