- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- アジア経済 >
- 10年越しのGST導入 インド経済どう変わる?
2017年07月31日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
3――GSTとは
3-1|GSTの制度概要
物品税や付加価値税など17の税(Tax)及び福祉など特定目的の23の課税(Cess)がGSTに統合、多種多様の課税対象は物品・サービスの供給(取引)に統一された(図表5)。もっともアルコール税、印紙税などの間接税は現状を維持し、GSTとは別途課税されることになっており、全ての間接税がGSTに統合された訳ではない。
GST体系は、中央政府と州政府に歳入が分かれる「デュアルGST」と呼ばれる二元構造となっている(図表6)。またGSTの税目は、州内の取引にかかる中央GST(Central GST)及び州GST(State GST)、そして州をまたぐ取引にかかる統合GST(Integrated GST)の3つがある。この点はシンプルではないが、州政府はGSTの徴税権を持たないため、各州が独自にルールや税率を決められなくなったことは大きな改善点5と言える。
さらには税金の相殺範囲が拡大した。従来、州をまたぐ取引で支払う中央販売税は同一州内の取引で受け取る付加価値税と相殺できず、事業者の追加コストとなってきたが、GSTのもとでは支払った税額を受け取った税額から相殺できるようになった(図表7)。
物品税や付加価値税など17の税(Tax)及び福祉など特定目的の23の課税(Cess)がGSTに統合、多種多様の課税対象は物品・サービスの供給(取引)に統一された(図表5)。もっともアルコール税、印紙税などの間接税は現状を維持し、GSTとは別途課税されることになっており、全ての間接税がGSTに統合された訳ではない。
GST体系は、中央政府と州政府に歳入が分かれる「デュアルGST」と呼ばれる二元構造となっている(図表6)。またGSTの税目は、州内の取引にかかる中央GST(Central GST)及び州GST(State GST)、そして州をまたぐ取引にかかる統合GST(Integrated GST)の3つがある。この点はシンプルではないが、州政府はGSTの徴税権を持たないため、各州が独自にルールや税率を決められなくなったことは大きな改善点5と言える。
さらには税金の相殺範囲が拡大した。従来、州をまたぐ取引で支払う中央販売税は同一州内の取引で受け取る付加価値税と相殺できず、事業者の追加コストとなってきたが、GSTのもとでは支払った税額を受け取った税額から相殺できるようになった(図表7)。
5 州政府の課税権が縮小したことから、州独自の判断で付与してきた税制上の恩典は今後受けにくくなる。インドに進出する(今後進出を検討する)企業は留意が必要だ。
次に物品に適用される税率を見ると、概して穀物や牛乳等の農産品は免税、砂糖や食用油等の必需品は5%、ジュース等の加工食品は12%、石鹸等の日用品は18%、耐久消費財や嗜好品は28%といったように低所得者に配慮した分類となっており、これらは可能な限り従来の税率に近くなるように決定された。税率毎の構成割合を見ると、高税率(28%)が物品の約2割、標準税率(12%、18%)が約6割、低税率(5%)および免税(0%)が約2割といったバランスが取られた(図表10)。
サービスに適用される税率を見ると、銀行や保険、通信、IT等の一般的なサービス業は総じて18%となった。また医療と教育が免税、旅客鉄道と貨物輸送が5%の低税率、また同じレストランでもエアコン付き(18%)とエアコンなし(12%)、航空券もビジネスクラス(12%)とエコノミークラス(5%)といったように低所得者への配慮がなされている。
サービスに適用される税率を見ると、銀行や保険、通信、IT等の一般的なサービス業は総じて18%となった。また医療と教育が免税、旅客鉄道と貨物輸送が5%の低税率、また同じレストランでもエアコン付き(18%)とエアコンなし(12%)、航空券もビジネスクラス(12%)とエコノミークラス(5%)といったように低所得者への配慮がなされている。
(2017年07月31日「基礎研レポート」)

03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/06/23 | 東南アジア経済の見通し~政策対応で内需は底堅いが、外需は不透明感増し、景気減速へ | 斉藤 誠 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/06/13 | インド消費者物価(25年5月)~5月のCPI上昇率は+2.8%、食品価格の低下が続いて6年ぶりの低水準に | 斉藤 誠 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/12 | インド株式市場における国内投資家の存在感と資金構造の変化 | 斉藤 誠 | 基礎研レポート |
2025/06/09 | インド経済の見通し~金融・財政政策の下支えにより+6%台半ばの堅調な成長が続く | 斉藤 誠 | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年07月04日
金融安定性に関するレポート(欧州)-EIOPAの定期報告書の公表 -
2025年07月04日
「持ち家か、賃貸か」。法的視点から「住まい」を考える(1)~持ち家を購入することは、「所有権」を得ること -
2025年07月04日
米雇用統計(25年6月)-非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったほか、失業率が上昇予想に反して低下 -
2025年07月03日
ユーロ圏失業率(2025年5月)-失業率はやや上昇したが、依然低位安定 -
2025年07月03日
IAIGsの指定の公表に関する最近の状況(14)-19の国・地域からの60社全てのIAIGsのグループ名が公開された-
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【10年越しのGST導入 インド経済どう変わる?】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
10年越しのGST導入 インド経済どう変わる?のレポート Topへ