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- 日銀短観(6月調査)~景況感は幅広く改善、先行きは慎重さが残る
2017年07月03日
5.設備投資・雇用:人手不足感は強い、設備投資計画は底堅いが力強さには欠ける
生産・営業用設備判断D.I.(「過剰」-「不足」)は全規模全産業で▲2と、前回比で横ばいとなり、前回に続いて不足超過となった。雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)も全規模・全産業で▲25と前回から横ばいで推移している。堅調な内外需要を反映して、設備・人員の不足感が続いている。
上記の結果、需給ギャップの代理変数とされる「短観加重平均D.I.」(設備・雇用の各D.I. を加重平均して算出)は前回から横ばいとなった(▲16.5ポイント→▲16.5ポイント)が、大幅なマイナス(不足超過)が続いている。
特に人員に関しては、不足感が極めて強い状況が続いている。内訳を見ると、これまで同様、製造業(全規模で▲16)よりも、労働集約型産業が多い非製造業(全規模で▲30)で人手不足感がより強い。また、企業規模別で見ると、人材調達力や収益力・賃金水準の違いが反映されているとみられるが、中小企業が▲27と大企業の▲16を大きく下回る状況が続いている。この結果、中小企業非製造業では▲33と、全区分中で最大のマイナス幅となっている。
人手不足は製造業・非製造業や企業規模を問わず幅広く共有されているが、特に中小非製造業においては深刻な経営課題になっていることがうかがわれる。
先行きの見通し(全規模全産業)は、設備判断D.I.が現状比1ポイント低下の▲3、雇用判断D.I.は4ポイント低下の▲29と、それぞれ不足感が強まることが見込まれている。両者を反映した「短観加重平均D.I.」も引き続き低下に向かう見込み(▲16.5ポイント→▲19.4ポイント)である。先行きにかけても、雇用判断D.I.の低下は中小企業で目立ち、中小企業における人手不足に対する警戒感は強い(図表9,10)。
上記の結果、需給ギャップの代理変数とされる「短観加重平均D.I.」(設備・雇用の各D.I. を加重平均して算出)は前回から横ばいとなった(▲16.5ポイント→▲16.5ポイント)が、大幅なマイナス(不足超過)が続いている。
特に人員に関しては、不足感が極めて強い状況が続いている。内訳を見ると、これまで同様、製造業(全規模で▲16)よりも、労働集約型産業が多い非製造業(全規模で▲30)で人手不足感がより強い。また、企業規模別で見ると、人材調達力や収益力・賃金水準の違いが反映されているとみられるが、中小企業が▲27と大企業の▲16を大きく下回る状況が続いている。この結果、中小企業非製造業では▲33と、全区分中で最大のマイナス幅となっている。
人手不足は製造業・非製造業や企業規模を問わず幅広く共有されているが、特に中小非製造業においては深刻な経営課題になっていることがうかがわれる。
先行きの見通し(全規模全産業)は、設備判断D.I.が現状比1ポイント低下の▲3、雇用判断D.I.は4ポイント低下の▲29と、それぞれ不足感が強まることが見込まれている。両者を反映した「短観加重平均D.I.」も引き続き低下に向かう見込み(▲16.5ポイント→▲19.4ポイント)である。先行きにかけても、雇用判断D.I.の低下は中小企業で目立ち、中小企業における人手不足に対する警戒感は強い(図表9,10)。
2016年度の設備投資実績(全規模全産業)は、前年度比0.4%増と前回調査時点(0.4%増)から横ばいとなった。辛うじて前年度比増加を維持したものの、実績の伸び率としては2011年度(0.0%)以来の低水準となった。昨年度は、欧米政治の混乱や上期の円高進行などから事業環境の不透明感が強まり、企業で様子見姿勢が広がったためとみられる。
2017年度の設備投資計画(全規模全産業)は、2016年度実績比で2.9%増と前回調査時点の1.3%減から上方修正された。例年6月調査では、計画が固まってくることで大幅に上方修正される傾向が極めて強い。前回調査で、近年の3月調査での伸び率をかなり上回る計画が示されたことで発射台が高かっただけに、今回調査でも高めの伸び率となったが、伸び率の土台となる16年度の実績が低いことがプラスに働いている面もある。従って、実勢としては底堅いものの、未だ力強さには欠けるとの評価が妥当だろう。企業収益の改善は設備投資の追い風ながら、海外情勢をめぐる不透明感が強い状況が続いており、現段階において投資を大きく積極化する動きは限られている模様。
なお、16年度計画(全規模全産業0.4%増)は事前の市場予想(QUICK 集計0.1%減、当社予想は0.7%減)をやや上回る結果であった。一方、17年度計画(全規模全産業2.9%増)は事前の市場予想(QUICK 集計3.9%増、当社予想は4.2%増)を下回る結果であった。
2017年度の設備投資計画(全規模全産業)は、2016年度実績比で2.9%増と前回調査時点の1.3%減から上方修正された。例年6月調査では、計画が固まってくることで大幅に上方修正される傾向が極めて強い。前回調査で、近年の3月調査での伸び率をかなり上回る計画が示されたことで発射台が高かっただけに、今回調査でも高めの伸び率となったが、伸び率の土台となる16年度の実績が低いことがプラスに働いている面もある。従って、実勢としては底堅いものの、未だ力強さには欠けるとの評価が妥当だろう。企業収益の改善は設備投資の追い風ながら、海外情勢をめぐる不透明感が強い状況が続いており、現段階において投資を大きく積極化する動きは限られている模様。
なお、16年度計画(全規模全産業0.4%増)は事前の市場予想(QUICK 集計0.1%減、当社予想は0.7%減)をやや上回る結果であった。一方、17年度計画(全規模全産業2.9%増)は事前の市場予想(QUICK 集計3.9%増、当社予想は4.2%増)を下回る結果であった。
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
(2017年07月03日「Weekly エコノミスト・レター」)
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