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- 消費者物価(全国17年5月)~物価の基調は弱く、上昇品目数も減少
2017年06月30日
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1.コアCPI上昇率は0.1ポイント拡大

被服及び履物(4月:前年比▲0.1%→5月:同0.1%)が2ヵ月ぶりの上昇となったこともコアCPIを若干押し上げた。
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが0.38%(4月:0.34%)、食料(生鮮食品を除く)が0.18%(4月:0.18%)、その他が▲0.16%(4月:▲0.22%)であった。
2.上昇品目数が減少

上昇品目数は15年度中には6割を超えていたが、16年夏場以降は5割台に低下している。かつてに比べて企業の値上げに対する抵抗感は小さくなっており、輸入物価上昇や人件費上昇に伴うコストの上昇の一部を価格転嫁する動きは継続しているものの、その勢いは弱まっている。
3.東京都区部のコアCPIが事前予想から大きく下振れ
17年6月の東京都区部のコアCPIは前年比0.0%(5月:前年比0.1%)となり、上昇率は前月から0.1ポイント縮小した。事前の市場予想(QUICK集計:0.2%、当社予想は0.1%)を大きく下回る結果であった。
ガソリン(5月:前年比12.1%→6月:同7.0%)、灯油(5月:前年比13.9%→5月:同13.8%)の上昇幅は縮小したが、電気代(5月:前年比1.8%→6月:同4.5%)の上昇幅が拡大したこと、ガス代(5月:前年比▲2.9%→6月:同0.0%)が2年1ヵ月ぶりにマイナスを脱したことから、エネルギー価格の上昇率が5月の前年比1.5%から同3.4%へと拡大した。
ガソリン(5月:前年比12.1%→6月:同7.0%)、灯油(5月:前年比13.9%→5月:同13.8%)の上昇幅は縮小したが、電気代(5月:前年比1.8%→6月:同4.5%)の上昇幅が拡大したこと、ガス代(5月:前年比▲2.9%→6月:同0.0%)が2年1ヵ月ぶりにマイナスを脱したことから、エネルギー価格の上昇率が5月の前年比1.5%から同3.4%へと拡大した。

東京都区部のコアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.17%(5月:0.08%)、食料(生鮮食品を除く)が0.11%(5月:0.11%)、その他が▲0.28%(5月:▲0.09%)であった。
4.コアCPI上昇率は秋以降縮小に向かう可能性も
ガソリン、灯油の前年比上昇率は3月をピークに縮小し始めているが、原油価格の動きが遅れて反映される電気代、ガス代は秋頃まで上昇率が高まることが見込まれる。現時点では、エネルギーによるコアCPI上昇率の押し上げ寄与は17年10月に0.5%程度まで拡大すると予想している。また、既往の円高による物価下押し圧力は残っているものの、足もとのドル円レートはすでに前年よりも円安水準となっており、今後は円安が物価の押し上げ要因となることが見込まれる。コアCPIは17年秋頃にはゼロ%台後半まで伸びを高めるだろう。

今後は需給バランスの改善に伴う物価押し上げ圧力が一定程度高まることが期待できるが、エネルギー価格の上昇幅縮小による影響が大きい。コアCPI上昇率は17年秋頃にはゼロ%台後半まで高まった後、頭打ちとなる可能性が高く、為替、原油価格の動向次第では上昇率が大きく縮小することもありうるだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2017年06月30日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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