コラム
2017年06月20日

惑星間の距離-小惑星が地球に衝突する可能性があるらしいけど?

保険研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター兼任   安井 義浩

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6月6日、チェコの天文学者チームが、おうし座流星群として知られる宇宙の塵の中に大きいもの(直径200~300メートル)があって、地球への衝突可能性が高まっている、と報告した。

このところ、天体衝突というリスクが話題になることが多くなってきたように思う。その要因としては、金融機関を中心としたリスク管理の進展で、エマージングリスクが注目されるようになったことがある。これまで定量化が難しいとされていたリスクを定量化するとともに、経験のないリスクも「全て網羅し、研究しています」と、知ったような顔をしなければならない、といった事情だろうか。

それはともかく、天文学における観測技術の高度化によって、これまで見えなかった小惑星や宇宙空間の塵が見えるようになってきたということもあるらしい。

しかし、宇宙空間における距離感というものがどうにも想像しにくい。広大な何もない空間に時々星があるのか、それとも、いつ衝突してもおかしくないくらい、星などがひしめきあっているのか。

今回は、天体の「そこにある様子」について実感できるようにしよう。宇宙全体の広大さは想像を絶するものだが、地球周辺くらいなら何とか実感できるかもしれない。

というわけで、さっそくだが、地球周辺の様子を書けといわれたら、例えばこんな感じだろう。
地球周辺の様子
さてここで、実際にはどんな大きさと、お互いの距離を持っているのか、見てみよう。
太陽系の惑星の大きさと太陽からの距離
表左側にある実際の距離をみても位置関係が想像しにくいので、右側に地球の大きさをゴルフボールに例えたモデルを書いてみた。約1.2万kmを4cmに縮めてみたわけだ。

これをみると、月と地球の位置・距離関係は
「左手にゴルフボール、右手にパチンコ球をもって、両腕を軽く拡げたような感じ」
となる。これは意外にスカスカな感じがするだろう。これで日食や月食がよく起こるものだと感じるかもしれない。

地球をゴルフボールにしてしまった都合上、舞台をゴルフ場にして、とあるホールのティーグラウンドにおいてみよう。(ゴルフに縁のない方は、距離だけで想像してください。)

すると太陽は「その約500mのロングホールのグリーン(においた小さい気球、と言ったほうがいいか)」となる。

上の表で距離を引き算すると、「金星は、139m先のピンポン玉」、「水星は307m先の小さいビー玉」である。(もちろん地球=ゴルフボールに最も近いときに、である。)

その水星は、太陽に最も近い灼熱の惑星、というのが多くの人がもっているイメージだと思うが、このモデルでは、「グリーンから194m離れた小さいビー玉」となる。これも意外に離れている。前のページで描いた絵が恥ずかしくなるが、訂正はしないでおく。
 
地球の外側にいくと、火星は最も近い時で、地球から(763-501=)262メートル。

「今しがた通ってきた200mのショートホールのティーグラウンドにおいた大きいビー玉」。

木星は3km程度離れており、「ゴルフ場の入り口にあるバランスボール」。

一番外側の惑星である海王星ともなると15kmも離れてしまうので、「ゴルフ場に一番近い高速道路のインターチェンジに置いたサッカーボール」といったところで、どうやら想像以上にお互いの距離は離れていて、たいそう孤独なようだ。

というわけで、地球に小惑星が衝突することなど、ありうるのだろうか、というのが現時点での感想なのだが、どう感じられるだろうか。

実際には、毎晩のように流れ星は降っているわけだし、隕石又は小惑星が衝突したような痕跡としてのクレーターなどがいくらでもある。近年、実際に大規模な被害が生じた例としては、2013年にロシアに落下した隕石がある。この時の火球が空を飛んでいる様子や建物の被害状況などは、今でも動画サイトでみることができる。

衝突しないまでも接近した例としては、1990年代以降だけみても、地球から10~20万kmには何度も小惑星は接近しているとのこと。先ほどのモデルでいえば、「地球(ゴルフボール)と月(パチンコ玉)の間(腕を広げたその中)を通過する隕石(蚊?)」は日常茶飯事、ということかもしれない。空間だけでなく、時間のほうも人間とはスケールが違うのだから。
 
ちなみに太陽以外の最も近い恒星は、4.3光年離れたケンタウルス座アルファ星とされているが、1光年は約9.5兆kmなので、計算すると、たとえ地球がゴルフボールだとしても3万km以上かなたにある。逆に実感しにくくなってしまった。

さらに宇宙全体としては、「銀河系の直径が10万光年」だとか、「アンドロメダ銀河までの距離が230万光年」だとか、以下すっとばして「観測可能な宇宙の大きさが470億光年」となると、全く想像を絶するスケールである。宇宙のこうしたスケールからみると、太陽系など宇宙の中の一点にすぎず、比較的星が密集している領域だ(なので、最初の絵もこれでかまわない、と言訳しておく。)という見方もあるだろう。「意外にポツポツとしかない」のに、「密集している」のは見方によって両方とも正しい?
 
宇宙空間を実感しようとして、結局無理なところまで含めて、予定通り今回はここまでとする。天体衝突なども含むエマージングリスク全般についてもまた、科学的な事実、リスク管理の両面から、今後も動きを追って行くつもりである。
 
(なお、冒頭にあげたチェコの天文学者チームの報告1の件が気になるかもしれないが、いますぐ衝突するぞという警告ではなく、「流星のもととなるような宇宙の塵が多いところを発見した。そこを地球が定期的に通過するので、隕石の硬さなどの性質によっては、燃え尽きずに地表まで達する危険度は高いかもしれない」というもので、最終的には、今後とも詳細な情報を得る研究が必要だとまとめている。過度に心配しなくてもよさそうであるが、何が起こるかはわからない。)
 
1 Discovery of a new branch of the Taurid meteoroid stream as a real source of potentially hazardous bodies https://www.aanda.org/articles/aa/pdf/forth/aa30787-17.pdf(2017.5.20))
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保険研究部   主任研究員・年金総合リサーチセンター兼任

安井 義浩 (やすい よしひろ)

研究・専門分野
保険会計・計理、共済計理人・コンサルティング業務

(2017年06月20日「研究員の眼」)

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