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- 地震保険の改定-保険料値上げが続く?
2017年03月28日
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2――常に見直されている地震保険の内容
そして次に保険料率の改定、簡単にいえば全般的には値上げである。
地震保険の保険料は、建物の構造、所在地、そして耐震性能による割引の3要素によって決められる。基準となる料率は損害保険料率算出機構が算出し、金融庁に届け出て、審査を受ける。それは各損害保険会社に提供され、自社の保険料として使用できる。それを参考に各社が自由に保険料を設定できる、というのが制度の建てつけのようだが、これまで制度創設以来全ての会社が基準料率を採用しているとのことである。
特に、この「所在地」ということで、都道府県別の危険度が計算され、3段階の等地区分が設けられる。(下図あるいは地図参照)危険度の低いほうから1等地~3等地に分けられている。
今回は、2015年9月に上記のように基準料率変更の届出がなされ、2017年1月1日以降の契約または中途セット、自動継続となる契約から保険料が改訂される。
届出の内容を見ると、まず実態としては「19.0%の値上げが必要な状況である」とされている。
震源モデルの更新が大きく引き上げに影響したとのことである。その他に地盤データの更新、耐震性能の的確な反映、そして上で述べた損害区分の細分化は引き下げ方向に効いているとのことである。
しかしこの前回の改定(2013年3月届出、2014年7月実施)でも全国平均で+15.5%の値上げを行なっており、それから間がないことから、今回の値上げは3段階に分けて行なうこととし、第一段階として平均5.1%の値上げを行なうという状況である。
第2、第3の改定は、今後の基礎データの更新などを踏まえて行なう予定になっている。
さて、そうしたことを受け、改訂された保険料は次の通りである。等地区分も一部変更され、値上げされた都道府県もあれば、値下げになったところもある。
地震保険の保険料は、建物の構造、所在地、そして耐震性能による割引の3要素によって決められる。基準となる料率は損害保険料率算出機構が算出し、金融庁に届け出て、審査を受ける。それは各損害保険会社に提供され、自社の保険料として使用できる。それを参考に各社が自由に保険料を設定できる、というのが制度の建てつけのようだが、これまで制度創設以来全ての会社が基準料率を採用しているとのことである。
特に、この「所在地」ということで、都道府県別の危険度が計算され、3段階の等地区分が設けられる。(下図あるいは地図参照)危険度の低いほうから1等地~3等地に分けられている。
今回は、2015年9月に上記のように基準料率変更の届出がなされ、2017年1月1日以降の契約または中途セット、自動継続となる契約から保険料が改訂される。
届出の内容を見ると、まず実態としては「19.0%の値上げが必要な状況である」とされている。
震源モデルの更新が大きく引き上げに影響したとのことである。その他に地盤データの更新、耐震性能の的確な反映、そして上で述べた損害区分の細分化は引き下げ方向に効いているとのことである。
しかしこの前回の改定(2013年3月届出、2014年7月実施)でも全国平均で+15.5%の値上げを行なっており、それから間がないことから、今回の値上げは3段階に分けて行なうこととし、第一段階として平均5.1%の値上げを行なうという状況である。
第2、第3の改定は、今後の基礎データの更新などを踏まえて行なう予定になっている。
さて、そうしたことを受け、改訂された保険料は次の通りである。等地区分も一部変更され、値上げされた都道府県もあれば、値下げになったところもある。
3 地震保険料率の届出について(損害保険料率算出機構ニュースリリース 2015.9.30)
http://www.giroj.or.jp/news/2015/150930_2.pdf
3――おわりに
さて、本稿では地震保険の直近の改定のみをとりあげたのだが、地震保険創設の歴史、仕組の詳細、これまで実際にどの地震災害にどれだけの役にたってきたかなど、興味深い点は多くある。もちろんこうしたことは、損害保険協会や損害保険料率算出機構、あるいは各損害保険会社が国民の周知徹底、理解にむけて、既に様々な情報を提供してきているものであり、このレポートもそれらを参考にさせて頂いた。
それにしても、保険料も値上がりしてこれで充分な財源があるのか、ということも心配だし、被害想定などもあるとはいえ、自然現象であるからこれで確実に充分だとかいえるはずがない。そのあたりのことはどうなっているのだろうか。さらには地震等の自然災害への救済制度全般としては、金銭面だけでなく、救助、住宅、食料、医療関係など幅広い分野に対応しているものであり、保険者サイドとしても、あるいは災害に備える個人としても、全体がどうなっているのかという興味はあろう。こうしたことはまた別の機会に報告させて頂きたいと考えている。
それにしても、保険料も値上がりしてこれで充分な財源があるのか、ということも心配だし、被害想定などもあるとはいえ、自然現象であるからこれで確実に充分だとかいえるはずがない。そのあたりのことはどうなっているのだろうか。さらには地震等の自然災害への救済制度全般としては、金銭面だけでなく、救助、住宅、食料、医療関係など幅広い分野に対応しているものであり、保険者サイドとしても、あるいは災害に備える個人としても、全体がどうなっているのかという興味はあろう。こうしたことはまた別の機会に報告させて頂きたいと考えている。
(2017年03月28日「保険・年金フォーカス」)
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03-3512-1833
経歴
- 【職歴】
1987年 日本生命保険相互会社入社
・主計部、財務企画部、調査部、ニッセイ同和損害保険(現 あいおいニッセイ同和損害保険)(2007年‐2010年)を経て
2012年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
・日本証券アナリスト協会 検定会員
安井 義浩のレポート
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