コラム
2017年02月13日

完全数とその魅力について-「博士の愛した数式」を観て、改めて数字の持つ奥深さに魅せられました-

中村 亮一

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完全数の歴史

紀元前3世紀にユークリッド(Euclid)が、既に先に述べた「2n-1が素数であるような正の整数nに対して、2n-1×(2n-1)は完全数となる」ことを証明し、最初の4つの完全数を発見したといわれている。従って、極めて古い歴史を有している。

なお、現在49個の完全数(メルセンヌ素数)があると述べたが、通常我々は、これは小さい順に発見されており、今後発見される新たな完全数は現存する最大のもの以上になるだろう、という感覚がある。ところが、現実は47番目の完全数が見つかった後に、それよりも小さい45番目の完全数が発見されている。

2016年9月に、現在の45番目までのメルセンヌ素数より小さいものは存在しないことが確認されているが、46番目から、現時点で最大のメルセンヌ素数までの間に、新たなメルセンヌ素数がないことは未だ確認されておらず、新たなメルセンヌ素数が発見されるかもしれない、とのことである。

多くの方々は、数学のような世界では、もっとシステム的に秩序だって事実が解明されていくものだと認識していると思われるが、必ずしもそうとは限らないというところが、何とも不思議な話ではないだろうか。

完全数は、どんな意味を有しているのか

完全数の6は「神が世界を6日間で創造した」ことに関係していると言われている。

6といえば、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の6種の曜からなる「六曜」があるが、これは1ヶ月(≒30日)を5等分して6日を一定の周期とし(30÷5 = 6)、それぞれの日を星ごとに区別するための単位として使われたとのことであるが、これに完全数が関係しているのかは定かではない。

さらに、6という数字は各種の単位の基礎数字となっている。例えば、12(=6×2)は、1年の月数であり、干支や星座の数でもある。24(=6×4)は1日の時間数であり、30(=6×5)は1ヶ月の日数である。60=(6×10)は1時間の分数であり、360(=6×60)は円の角度である、といった具合である。

28は「月の公転周期が28日である」ことに関係していると考えられている。

28といえば、成人の頭蓋骨は舌骨を除いて28個の骨からなっており、人間の歯の本数は、親知らずを含めなければ28本ある。

496は、古代ギリシャ人が「天地創造の神の数字」として崇めていた神秘的な数字と言われている。

NHKのドキュメンタリー番組「NHKスペシャル『神の数式』」(2013年9月放送)では、物理学者のジョン・シュワルツとマイケル・グリーンが「超弦理論」の数式分析の中で、496という数字が何度も現われて、これによって、相対性理論と素粒子が結びついた、との逸話が紹介されていた。さらに、預言者ヨハネの福音書の第1章、1~18節は、496の完璧な音節からできていると言われている。

このように、完全数は、ミステリアスな要素を含み、いくつかの重要な場面で使用されている。

まとめ

数字はいろいろと面白い性格を有している。暇な時には、数字遊びをしてみるのも、頭の体操にはよいかもしれない。

今回は「博士の愛した数式」という映画から、思わず興味関心を拡大させてきたが、文化や芸術は、時に、あまり知られていない事実に人々を気付かせ、それをきっかけに新たな感覚を呼び起こさせてくれるものだと感じた次第である。
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(2017年02月13日「研究員の眼」)

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