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2017年02月03日
昨年末、働き方改革の柱の一つ、同一労働・同一賃金を実現する法改正に向け、非正規社員と正社員の処遇を合わせるためのガイドラインが公表された。そこで取り上げられたのは基本給や賞与や福利厚生であり、退職金(企業年金)への言及はない。しかし、非正規社員の約1割にしか適用されていない現実を考えると、退職金や企業年金はいつ議論の俎上に上ってもおかしくはない。
では、正社員にだけ退職金制度を適用する合理的理由はあるのか。経営者の立場からの説明として長期勤続のインセンティブがある。日本企業では勤続により加速度的に増加する退職金が、年功賃金と相まって早期の離職を抑制してきた。退職金には離職抑制の目的があるので、そもそも有期雇用の非正規社員に適用するには無理がある、という主張もできそうだ。
ただし、正社員の年功賃金までが否定されると、同様の性格を持つ退職金を擁護する主張は難しくなる。それでも退職金を残すのなら、正規・非正規を同じ賃金とし、正社員だけが賃金の一部を、会社を通じて老後のために積み立てる仕組みにせざるを得ないのかもしれない。その場合、退職金の性格は完全に賃金の後払いになる。功労報償か賃金の後払いか、という長年の論争をどう決着させるのか、労使ともそろそろ準備にかかる必要がありそうだ。
では、正社員にだけ退職金制度を適用する合理的理由はあるのか。経営者の立場からの説明として長期勤続のインセンティブがある。日本企業では勤続により加速度的に増加する退職金が、年功賃金と相まって早期の離職を抑制してきた。退職金には離職抑制の目的があるので、そもそも有期雇用の非正規社員に適用するには無理がある、という主張もできそうだ。
ただし、正社員の年功賃金までが否定されると、同様の性格を持つ退職金を擁護する主張は難しくなる。それでも退職金を残すのなら、正規・非正規を同じ賃金とし、正社員だけが賃金の一部を、会社を通じて老後のために積み立てる仕組みにせざるを得ないのかもしれない。その場合、退職金の性格は完全に賃金の後払いになる。功労報償か賃金の後払いか、という長年の論争をどう決着させるのか、労使ともそろそろ準備にかかる必要がありそうだ。
(2017年02月03日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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