2017年01月25日

EIOPAによる2016年度保険ストレステストの結果について(2)-EIOPAの報告書の概要報告-

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4―ストレステストの結果-(2)負債超過資産への影響-

この章では、「(2)負債超過資産への影響」について報告する。

1|会社毎の負債超過資産への影響
ダブルヒットシナリオでは、サンプルの44%を構成する104の保険会社が負債超過資産の3分の1以上を失うことになる。さらに、負債超過資産の2分の1以上を失う会社が42社あり、負債超過資産の全てを失う会社が5社ある。

長期低利回りシナリオでは、サンプルの16%を構成する38社が負債超過資産の3分の1以上を失うことになる。さらに、負債超過資産の2分の1以上を失う会社が16社あり、負債超過資産の全てを失う会社が3社ある。
ストレステストの結果(会社毎)
LTG措置や移行措置を適用しない場合には、以下の通りとなる。

ダブルヒットシナリオでは、サンプルの69%を構成する162の保険会社が負債超過資産の3分の1以上を失うことになる。さらに、負債超過資産の2分の1以上を失う会社が127社あり、負債超過資産の全てを失う会社も31%の72社ある。

長期低利回りシナリオでは、サンプルの25%を構成する59社が負債超過資産の3分の1以上を失うことになる。さらに、負債超過資産の2分の1以上を失う会社が35社あり、負債超過資産の全てを失う会社が14社ある。

このように、金融安定性にとって、これらの措置が重要であることが確認されている。
ストレステストの結果(会社毎)-LTG措置や移行措置が無い場合-
2|国別の負債超過資産への影響
国別の負債超過資産への影響は、次ページの図表の通りとなっている。

EU/EEA全体では、ダブルヒットシナリオによる影響は28.9%の減少、長期低利回りシナリオによる影響は18%の減少となっている。

国別で見ると、殆どの国は、ダブルヒットシナリオによる影響の方が長期低利回りシナリオによる影響よりも大きい。ただし、ドイツ、オランダ、オーストリアは、長期低利回りシナリオによる影響の方が大きくなっている。
図表 国別の負債超過資産への影響

5―まとめ

5―まとめ

以上、今回のレポートでは、ストレステストの結果のうち、EU全体の結果の概要と、(1)貸借対照表ベースの指標、(2)負債超過資産への影響、について報告してきた。

次回のレポートでは、ストレステストの結果のうちの、(3)デュレーション及びキャッシュフローパターン分析、(4)重要な影響変数、(5)デリバティブ分析、(6)2次的影響の分析、について報告する。
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中村 亮一

研究・専門分野

(2017年01月25日「保険・年金フォーカス」)

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