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2017年01月16日
EUソルベンシーIIにおけるLTG措置等の適用状況とその影響(4)-EIOPAの報告書の概要報告-
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3―LTG措置や株式リスク措置を使用するための承認プロセス
UFRの使用、MA、VA、TRFR、TTP、ERP、ED、DBERの8つのLTG措置及び株式リスク措置のうち、MA、TRFR、TTP、DBERの4つの措置については、その適用に監督当局の承認が必要となる。VAについては各国の判断で、監督当局の承認を必要とすることが認められる。UFRの使用については、全社に強制適用され、EDについても標準モデル適用会社は強制適用となることから、監督当局の承認を必要としない。また、ERPについては、NSAsからの要請に基づいて、EIOPAが「例外的に不利な状況(an exceptional adverse situation)」を宣言した時に適用されるが、これまでのところ、EIOPAはそのような要請を受けていない。従って、ここでは、MA、VA、TRFR、TTP、DBERの5つの措置の承認プロセスについて報告する。
なお、以下の3番目のセクションからの図表の数値は、2016年1月1日以前に受け取った申請に関する数値であるため、(2016年1月1日以降、NSAsの提出日までの間の進展が含まれた形になっている)報告書の1番目や2番目のセクションの数値とは異なっている。
1|MA(マッチング調整)
(1)承認状況
MAの適用には監督当局の承認が必要だが、2016年1月1日時点では、英国とスペインの2カ国のみが申請を受けている。
UFRの使用、MA、VA、TRFR、TTP、ERP、ED、DBERの8つのLTG措置及び株式リスク措置のうち、MA、TRFR、TTP、DBERの4つの措置については、その適用に監督当局の承認が必要となる。VAについては各国の判断で、監督当局の承認を必要とすることが認められる。UFRの使用については、全社に強制適用され、EDについても標準モデル適用会社は強制適用となることから、監督当局の承認を必要としない。また、ERPについては、NSAsからの要請に基づいて、EIOPAが「例外的に不利な状況(an exceptional adverse situation)」を宣言した時に適用されるが、これまでのところ、EIOPAはそのような要請を受けていない。従って、ここでは、MA、VA、TRFR、TTP、DBERの5つの措置の承認プロセスについて報告する。
なお、以下の3番目のセクションからの図表の数値は、2016年1月1日以前に受け取った申請に関する数値であるため、(2016年1月1日以降、NSAsの提出日までの間の進展が含まれた形になっている)報告書の1番目や2番目のセクションの数値とは異なっている。
1|MA(マッチング調整)
(1)承認状況
MAの適用には監督当局の承認が必要だが、2016年1月1日時点では、英国とスペインの2カ国のみが申請を受けている。
却下された1社は、指令が要求する資産に対する固定キャッシュフロー基準を満たさなかった。撤回は、ポートフォリオがMA適用のための法的要件を満たすのを確実にするために申請の範囲に変化があったため、としている。
(2)資産と負債のマッチングの評価
EIOPAは、NSAsに対して、MAに対する事業の資産と負債のキャッシュフローの間に重大なミスマッチがあるのかどうかをどのように評価しているのか、の説明を要求した。
例えば、英国は、プリンシプルベースのマッチングテストと関連する臨界値を開発した。これらのテストはマッチングを示すために使用することができる唯一のテストではなく、ハードテストでもない(即ち、1つ以上のテストの失敗が、自動的にミスマッチしており、それゆえMA要件を満たしていない、ということを意味するものではない)。代わりに、これらは、会社のマッチングの質を業界全体にわたって整合的に評価するために使用される。テストは、会社が大きくアンダー又はオーバーミスマッチしている程度を考察する。
(3)法的要件の充足
EIOPAによるMAの法的要件のどれを充足するのが困難なのかとの質問に対して、英国のNSAは、ソルベンシーⅠの下で良く合致していると考えられていた資産が基準を満たさないことから、資産の固定キャッシュフロー基準が最も困難なものである、と回答している。
2|VA(ボラティリティ調整)
(1)承認状況
VAの適用に監督当局の承認を要件としているのは、10カ国(ドイツ、デンマーク、エストニア、クロアチア、アイルランド、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロベニア、英国)である。
以下の図表が、承認状況を示している。
(2)資産と負債のマッチングの評価
EIOPAは、NSAsに対して、MAに対する事業の資産と負債のキャッシュフローの間に重大なミスマッチがあるのかどうかをどのように評価しているのか、の説明を要求した。
例えば、英国は、プリンシプルベースのマッチングテストと関連する臨界値を開発した。これらのテストはマッチングを示すために使用することができる唯一のテストではなく、ハードテストでもない(即ち、1つ以上のテストの失敗が、自動的にミスマッチしており、それゆえMA要件を満たしていない、ということを意味するものではない)。代わりに、これらは、会社のマッチングの質を業界全体にわたって整合的に評価するために使用される。テストは、会社が大きくアンダー又はオーバーミスマッチしている程度を考察する。
(3)法的要件の充足
EIOPAによるMAの法的要件のどれを充足するのが困難なのかとの質問に対して、英国のNSAは、ソルベンシーⅠの下で良く合致していると考えられていた資産が基準を満たさないことから、資産の固定キャッシュフロー基準が最も困難なものである、と回答している。
2|VA(ボラティリティ調整)
(1)承認状況
VAの適用に監督当局の承認を要件としているのは、10カ国(ドイツ、デンマーク、エストニア、クロアチア、アイルランド、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロベニア、英国)である。
以下の図表が、承認状況を示している。
これによれば、アイルランドの4社が却下されているが、これは当該会社の事業が短期でVAの長期目的に整合的でない、と考えられたことによる。英国の5社が撤回された理由は、MAの適用が承認されたためVAを適用する必要性がなくなったことや申請会社の措置の必要性の評価や申請基準を達成する能力が変化したため、としている。
(2)承認基準
VAの申請を承認する基準は、国毎に異なっている。NSAsは、以下の基準のいくつかの使用を報告している。
・会社の投資は、VAの計算に使用される代表的な資産ポートフォリオと十分に類似している。
・会社は、VAを適用する際に、投資に対するプルーデントパーソン原則を満たすことができる。
・会社は、VAによって導入又は影響を受けるリスク、特に流動性リスクを管理することができる。
・会社は、少なくともリスクフリー金利プラスVAを上回る利子を投資で得ることができる。
・VAの使用は、会社のプロシクリカルな投資行動をもたらしたり、インセンティブを与えることはない。
・VAの使用は、会社のプロシクリカルな投資行動を妨げる。
・会社のリスクプロファイルは、VAの基礎となる前提に沿っている。
3|TRFR(リスクフリー金利の移行措置)
(1)承認状況
TRFRの適用には、監督当局の承認が要求されるが、2016年1月1日時点では、6カ国(ドイツ、フィンランド、フランス、ギリシャ、アイルランド、英国)が申請を受けている。
(2)承認基準
VAの申請を承認する基準は、国毎に異なっている。NSAsは、以下の基準のいくつかの使用を報告している。
・会社の投資は、VAの計算に使用される代表的な資産ポートフォリオと十分に類似している。
・会社は、VAを適用する際に、投資に対するプルーデントパーソン原則を満たすことができる。
・会社は、VAによって導入又は影響を受けるリスク、特に流動性リスクを管理することができる。
・会社は、少なくともリスクフリー金利プラスVAを上回る利子を投資で得ることができる。
・VAの使用は、会社のプロシクリカルな投資行動をもたらしたり、インセンティブを与えることはない。
・VAの使用は、会社のプロシクリカルな投資行動を妨げる。
・会社のリスクプロファイルは、VAの基礎となる前提に沿っている。
3|TRFR(リスクフリー金利の移行措置)
(1)承認状況
TRFRの適用には、監督当局の承認が要求されるが、2016年1月1日時点では、6カ国(ドイツ、フィンランド、フランス、ギリシャ、アイルランド、英国)が申請を受けている。
却下された1社は、もし承認されれば、不合理に高い投資リスクを取ることになっていた。撤回された1社は、措置を間違った形で申請していた。
(2)承認基準
EIOPAは、NSAsが申請を承認するための追加的な基準を設定したのかという質問を行っているが、殆どの国は追加的な基準を開発しなかったが、7カ国が追加的な基準を検討した、と回答している。
(3)各種の承認に対する考え方
2016年1月1日以降の後日から、移行措置の適用を開始することについては、8カ国のNSAsが認めるとしたが、4カ国のNSAsは認めない、としている。
殆どのNSAsが2032年以前に移行措置から抜け出ることを認め、いくつかのNSAsは一度移行措置を抜け出た後に再度移行措置を申請することも認める、としている。
(2)承認基準
EIOPAは、NSAsが申請を承認するための追加的な基準を設定したのかという質問を行っているが、殆どの国は追加的な基準を開発しなかったが、7カ国が追加的な基準を検討した、と回答している。
(3)各種の承認に対する考え方
2016年1月1日以降の後日から、移行措置の適用を開始することについては、8カ国のNSAsが認めるとしたが、4カ国のNSAsは認めない、としている。
殆どのNSAsが2032年以前に移行措置から抜け出ることを認め、いくつかのNSAsは一度移行措置を抜け出た後に再度移行措置を申請することも認める、としている。
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