2016年12月30日

地方債の発行と償還―統計の裏にある真実を探る

石川 達哉

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■要旨

近年は、地方債総残高がほぼ横ばいで推移する中で、赤字地方債残高が急増している。しかし、赤字地方債は地方公共団体が任意の歳出額を実現する目的で発行できるものではなく、いわば国策として発行が行われている側面が強い。一方、建設地方債はすでに残高減少が始まっており、新規発行額が抑制されていること、元金均等償還もしくは元利均等償還が行われているケースが多数を占めること、満期一括償還の場合も減債基金への事前積立が行われていることが、残高の着実な減少に寄与している。

地方全体としては、地方債の発行と償還が健全な財政運営に反しない形で行われていることが集計データから確認できるが、地方債の引受資金と償還方法は地方公共団体によって著しく異なる。本当に健全な資金管理が行われているか否かは、地方公共団体毎に検証されるべきものであり、地方債に関する詳細な情報が住民に向けて開示されることが強く望まれる。

■目次

1――はじめに
2――戦後の国債残高と地方債残高の推移
  1|近年は横ばいで推移する地方債残高と累増する国債残高
  2|赤字地方債と赤字国債の共通点と差異
  3|建設地方債と建設国債の共通点と差異
3――地方債の引受資金と地方債計画
  1|地方債引受資金の種類
  2|地方債引受資金と償還方法の関係
  3|地方債計画の果たしている役割
4――結びにかえて
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石川 達哉

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