- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 財政・税制 >
- 地方財政の健全化は進んだのか?-その3:景気変動下の地方税収と税制改正
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■要旨
最新の2012年度決算までのデータを用いた分析を通じて明らかになった点は、以下のとおりである。
第1に、名目GDPがピーク時の水準を回復していないために効果が見えにくいが、2007年度に実施された所得税から個人住民税への税源移譲によって、地方税収の基盤は強化されている。
第2に、個人住民税の占める割合が高まったこと、法人関係二税への依存度が高い道府県税の方が市町村税よりも厚く税源移譲されたことは、景気変動に伴う税収の不安定性緩和に寄与している。
第3に、暫定措置として、法人事業税を一部振替える形で導入された地方法人特別税・地方法人特別譲与税は、1人当たり道府県税収の地域間格差を大幅に縮小させる効果を持っている。
第4に、地方消費税に関しては、1人当たり税収の地域間格差が小さい。税率引き上げが実施されれば、増収効果だけでなく、緩やかながら、税収の地域間格差を縮小させる効果がある。
第5に、法人関係二税は景気から大きな影響を受けるため、地方税収全体を変動させる要因として残っている。1人当たり税収の地域間格差も他の主要税目と比べれば、依然大きい。
このように、暫定措置を含めた近年の地方税制改正は一定の成果を挙げてきたが、地方消費税率引き上げは次の一歩に過ぎない。駆け込み的な改正は避け、どのような地方税体系を構築するのか、“抜本改革”の中身を再考することを含め、議論を十分尽くしたうえで改革への継続的な取組が望まれる。
(2013年11月05日「基礎研レポート」)
石川 達哉
石川 達哉のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2018/12/28 | 同床異夢の臨時財政対策債-償還費を本当に負担するのは国か、地方か? | 石川 達哉 | 研究員の眼 |
| 2018/07/13 | 「地方財源不足額」は本当に解消されているのか?―先送りされ続ける臨時財政対策債の償還財源確保 | 石川 達哉 | 基礎研レポート |
| 2017/08/31 | 再び問われる交付税特会の行方-地方財政の健全性は高まったのか? | 石川 達哉 | 基礎研レポート |
| 2017/07/03 | 増大する地方公共団体の基金残高 その2-実は拡大している積立不足!? | 石川 達哉 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年11月14日
マレーシアGDP(2025年7-9月期)~内需は底堅く、外需は純輸出が改善 -
2025年11月14日
保険と年金基金における各種リスクと今後の状況(欧州 2025.10)-EIOPAが公表している報告書(2025年10月)の紹介 -
2025年11月14日
中国の不動産関連統計(25年10月)~販売が一段と悪化 -
2025年11月14日
英国GDP(2025年7-9月期)-前期比0.1%で2四半期連続の成長減速 -
2025年11月14日
家計消費の動向(二人以上世帯:~2025年9月)-「メリハリ消費」継続の中、前向きな変化の兆しも
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【地方財政の健全化は進んだのか?-その3:景気変動下の地方税収と税制改正】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
地方財政の健全化は進んだのか?-その3:景気変動下の地方税収と税制改正のレポート Topへ










