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中国経済:景気指標の総点検(2016年冬季号)~景気は持ち直し成長率に換算すれば6.9%を回復

三尾 幸吉郎
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世界の工場といわれる中国では輸出需要が生産動向を大きく左右する。1-11月期の輸出額(ドルベース)は前年同期比7.5%減と昨年通期の同2.9%減に続いて2年連続の前年割れとなっている。内訳を見ると、米国向けが同6.6%減、欧州EU向けも同4.4%減となるなど軒並み減少している。足元の10-11月期は前年同期比3.6%減と7-9月期の同6.7%減よりマイナス幅を縮めた。しかし、輸入額も同2.8%増と7-9月期の同4.6%減からプラスに転じており、ネットした貿易黒字は減少傾向にある。純輸出は10-12月期の成長率を押し下げる要因となりそうだ。但し、輸出の先行指標には底打ちの兆しでてきている(図表-10)。
【電力消費量】
その他の指標では電力消費量が注目される。今年1-11月期は前年同期比5.0%増と昨年通期の同1.0%増から伸びが回復してきた。第2次産業は、昨年はゼロ%前後で一進一退だったが、今年に入り緩やかながら回復傾向が続いている。第3次産業も高い伸びを維持している(図表-11)。
【貨物輸送量】
貨物輸送量も重要な指標である。今年1-11月期は前年同期比4.8%増と昨年通期の同4.4%増を若干上回る伸びを示している。内訳を見ると、鉄道貨物は同1.8%減とマイナス幅を大幅に縮めたものの、貨物輸送量の4分の3を占める道路貨物が同5.7%増と昨年通期の伸びを0.7ポイント下回っており、水路貨物と航空貨物も昨年通期の伸びを下回る伸びに留まっている(図表-12)。
【工業生産者出荷価格】
景気の体温と言われる物価も重要な景気指標である。今年11月の工業生産者出荷価格は前年同月比3.3%上昇と約4年半に及ぶ下落に歯止めが掛かった。原油などの上昇を受けて生産財が急上昇したほか消費財も上昇に転じており、今後は消費者物価にも上昇圧力が及びそうだ(図表-13)。
【通貨供給量(M2)】
金融面から景気を見る代表指標としては通貨供給量(M2)が挙げられる。ここもとの動きを見ると、11月は前年同月比11.4%増と「13%前後」とされた2016年の政府見通しを大きく下回っている(図表-14)。しかし、融資サイドから見ると、投資に結び付くことの多い中長期融資は11月も同18.0%増と高い伸びを維持しており、景気への悪影響は限定的と思われる。
(2016年12月22日「Weekly エコノミスト・レター」)
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