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中国経済見通し~デレバレッジ 、住宅バブル崩壊 、トランプ・リスク と不安材料は盛り沢山だが、6.5%前後の経済成長を維持すると予想

三尾 幸吉郎
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- 中国経済の成長率は横ばいで推移している。7-9月期の実質成長率は前年同期比6.7%増と3四半期連続で同6.7%増となった。一方、インフレ率は原油の底打ちなどから1-10月期の消費者物価は前年同期比2.0%上昇と昨年の同1.4%上昇を上回った。工業生産者出荷価格も同2.5%低下と昨年の同5.2%低下から下落ピッチが鈍化、デフレ圧力はやや緩和してきた。
- 需要面の動きを見ると、消費は中間所得層の増加傾向を背景に比較的高い伸びを維持しており、今後もその傾向は続きそうだが、所得の伸び鈍化やインフレ率上昇がマイナス材料となり、伸びは小幅に鈍化すると見ている。減速に歯止めが掛からない投資は、今後も製造業の過剰設備・過剰債務の圧縮、バブル退治に伴う住宅着工の減速、インフラ投資のスピード調整などがマイナス材料だが、中国製造2025に関連する領域では積極的な投資が期待できることから、小幅な鈍化に留まると予想する。また、輸出は2年連続で前年割れとなるなど不振が長引いている。先行指標が改善したことは好材料だが、今後も輸出に大きな期待はできないだろう。
- 一方、金融政策は、景気重視から住宅バブル退治に重点が移ると見られる。これまで景気対策としてインフラ整備を加速させてきたことや、住宅バブル膨張を黙認したことで住宅販売が急増したため、2016年の成長率目標である“6.5-7%”の達成はほぼ確実となった。今後は将来に大きな禍根を残さぬように、住宅バブル退治に注力することになると見ている。
- 経済見通しとしては、2016年の実質成長率は前年比6.6%増、2017年は同6.4%増、2018年は同6.4%増と、6.5%前後の経済成長を維持すると予想している。また、消費者物価は緩やかに上昇すると予想している。なお、リスクの所在としては、(1)過剰債務のデレバレッジ加速 、(2)住宅バブルの崩壊 、(3)米トランプ次期大統領の対中強硬策 の3点が挙げられる。
(2016年11月25日「Weekly エコノミスト・レター」)
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