- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 労働市場 >
- なぜ韓国では最低賃金を守らない企業が多いのか?―韓国の最低賃金の未満率は11.5%で日本の約6倍―
なぜ韓国では最低賃金を守らない企業が多いのか?―韓国の最低賃金の未満率は11.5%で日本の約6倍―
生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任
金 明中 (きむ みょんじゅん)
研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計
03-3512-1825
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
3――結びに代えて=なぜ最低賃金は守られないのか
2009年に15,625件だった最低賃金の違反件数は、2015年には1,502件に激減しているが、労働者が申告した最低賃金の違反件数は、2012年の717件から2014年には1,685件までむしろ増加している。最低賃金の未満率が改善されていないにもかかわらず、最低賃金の違反件数が減少しているのは最低賃金に対する摘発・監督体制に問題があることを意味するだろう。さらに、最低賃金に違反した企業に対する処罰件数は2015年時点で19件(違反件数の1.3%:司法処理310件、罰金刑9件)にすぎない。このように処罰件数が少ない理由は、最低賃金に違反した企業に「是正命令」が優先的に出されるからである。最低賃金制度に違反した企業は3年以下の懲役や2000万ウォン以下の罰金刑に処されることになっているものの、企業が「是正命令」を遵守し、滞納していた賃金を労働者に支払えば、今まで最低賃金制度に違反したことに対する何の処罰も受けずに継続的に企業活動をすることができる。このような軽い処罰基準は、「運悪く摘発されたら、その際に対応すればいい」という意識を企業に広げた可能性が高い。最低賃金の未満率を下げるためには、より勤労監督や処罰基準を強化する必要がある。
また、労働者の生活の質を向上させるために最低賃金を引き上げることも大事であるが、法律で決まっている最低賃金を守るようにすることが何より重要である。そこで、最低賃金制度の実効性を高めるためには、日本が実施している地域別最低賃金や特定(産業別)最低賃金の導入を中長期的に考える必要性があるかも知れない。
3 「司法処理」とは、労働基準監督官が労働基準法、労働安全衛生法等の違反被 疑事件として、検察庁へ送検するための処理のことをいう。
(2016年12月20日「基礎研レター」)
生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任
金 明中 (きむ みょんじゅん)
研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計
03-3512-1825
新着記事
-
2026年01月23日
2026年の消費~緩やかな改善傾向のもとで進む「使い方」と「選び方」の変化 -
2026年01月23日
米個人所得・消費支出(25年10、11月)-10月以降も堅調な個人消費を確認 -
2026年01月23日
消費者物価(全国25年12月)-コアCPI上昇率は26年2月に2%割れの公算 -
2026年01月22日
省庁再編から25年など節目の年に考える社会保障改革論議-スピーディーな意思決定や縦割り打破に成果、政策形成に歪みも -
2026年01月22日
米国における日系企業の団体医療保険活用状況調査結果
お知らせ
-
2025年12月16日
News Release
令和7年度 住宅ストック維持・向上促進事業「良質住宅ストック形成のための市場環境整備促進事業」に関するシンポジウムの開催
-
2025年12月01日
News Release
-
2025年12月01日
News Release
【なぜ韓国では最低賃金を守らない企業が多いのか?―韓国の最低賃金の未満率は11.5%で日本の約6倍―】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
なぜ韓国では最低賃金を守らない企業が多いのか?―韓国の最低賃金の未満率は11.5%で日本の約6倍―のレポート Topへ











