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- 右側通行?左側通行?(3)-鉄道・船舶・航空機の通行ルールはどうなっているのか-
コラム
2016年11月21日

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通行ルールのまとめ
このように見てみると、世界的には、交通機関は「右側通行」が主流、ということになる。
その中で、主として、日本と英国のような地理的に孤立した国々だけが、陸上交通の自動車や鉄道において「左側通行」を維持した形になっている。 ただし、日本や英国でも、国内の河川等における水上交通や空の交通は「右側通行」である。従って、水陸両用車は、陸上と海上で通行ルールが異なってくることになる。
先に述べたように、水上飛行機の場合には、空と海上で通行ルールが統一されているが、今後、水陸両用車だけでなく、陸空両用車も一般的になってくるような時代が来れば、こうした交通車両の通行ルールのあり方について、さらなる明確化等が必要になってくるかもしれない。さらには、将来的には、陸上において現行の「左側通行」を維持していくことに伴う大きな課題が発生してくる時代がやってくるかもしれない。
その中で、主として、日本と英国のような地理的に孤立した国々だけが、陸上交通の自動車や鉄道において「左側通行」を維持した形になっている。 ただし、日本や英国でも、国内の河川等における水上交通や空の交通は「右側通行」である。従って、水陸両用車は、陸上と海上で通行ルールが異なってくることになる。
先に述べたように、水上飛行機の場合には、空と海上で通行ルールが統一されているが、今後、水陸両用車だけでなく、陸空両用車も一般的になってくるような時代が来れば、こうした交通車両の通行ルールのあり方について、さらなる明確化等が必要になってくるかもしれない。さらには、将来的には、陸上において現行の「左側通行」を維持していくことに伴う大きな課題が発生してくる時代がやってくるかもしれない。
通行ルールの今後
そもそも、右側通行か左側通行かという点については、例えば、どちらがより安全性等の観点から適切といえるのか、という観点から決定されるべきかもしれない。過去においては、右利きの人が大多数の中で、「左側通行」がより安全であるとの考え方から、「左側通行」が主流となっていた。それが、フランスにおいて「右側通行」に変更されたことを契機に、「右側通行」が世界に拡がって、現在に至っている。
船舶や航空機の「右側通行」については、自動車とは異なる、スターボードが右舷にあったからということが起原であるが、これも右利きの考え方がベースにあるように思われる。
個人的には、馬車が自動車になり、「右側通行」に適した「左ハンドル」になったとしても、引き続き、右利きの人にとっては、「左側通行」の方が安全性を感じられるように思うのだが、左利きの人は異なる感じ方をしていることになる。その意味では万人に最適なルールや絶対的な正解はなく、まさにこれまでがそうであったように、各種の状況や背景に基づいて、今後もルールの決定がなされていくことになるのだろう。
船舶や航空機の「右側通行」については、自動車とは異なる、スターボードが右舷にあったからということが起原であるが、これも右利きの考え方がベースにあるように思われる。
個人的には、馬車が自動車になり、「右側通行」に適した「左ハンドル」になったとしても、引き続き、右利きの人にとっては、「左側通行」の方が安全性を感じられるように思うのだが、左利きの人は異なる感じ方をしていることになる。その意味では万人に最適なルールや絶対的な正解はなく、まさにこれまでがそうであったように、各種の状況や背景に基づいて、今後もルールの決定がなされていくことになるのだろう。
おわりに
現在は、各種の分野において、グローバルベースでのルールの共通化・標準化を目指した取組みが行われている。利用者の利便性という観点からは、世界共通のルールが設定されていくことが望まれるが、それぞれの国におけるルール設定の歴史的・科学的背景等もあることから、その変更がなかなか難しいものがあることは止むを得ない。
一旦各国において定着しているルールを変更する場合には、ソフトの面では、いかなる考え方にせよ、最終的には心の持ち様で解決される部分もあるのかもしれないが、ハードの面では、各種の施設や設備が既存のルールにフィットした形で構築されていることから、その変更に多大なコスト負担等が発生することになる。
ただし、グローバル化が避けられないのであれば、今後とも、ルールの統一化に向けて、引き続き努力していくことが大事になってくる。
なお、既存のルールの改訂は困難を伴う一方で、これから新しいルールを構築していく場合は、別の意味での生みの苦しみはあるものの、ルール統一実現の可能性は高くなるものと思われる、その意味で、例えば、今後の世界最先端の技術開発等において、いかに基本的なルールや基準設定において、リーダーシップを発揮できるのかということが、極めて重要な意味を有してくることになる。
今回、世界の通行ルールのあり方やその現在に至るまでの経緯を調べてみて、この点を改めて認識させられた次第である。
一旦各国において定着しているルールを変更する場合には、ソフトの面では、いかなる考え方にせよ、最終的には心の持ち様で解決される部分もあるのかもしれないが、ハードの面では、各種の施設や設備が既存のルールにフィットした形で構築されていることから、その変更に多大なコスト負担等が発生することになる。
ただし、グローバル化が避けられないのであれば、今後とも、ルールの統一化に向けて、引き続き努力していくことが大事になってくる。
なお、既存のルールの改訂は困難を伴う一方で、これから新しいルールを構築していく場合は、別の意味での生みの苦しみはあるものの、ルール統一実現の可能性は高くなるものと思われる、その意味で、例えば、今後の世界最先端の技術開発等において、いかに基本的なルールや基準設定において、リーダーシップを発揮できるのかということが、極めて重要な意味を有してくることになる。
今回、世界の通行ルールのあり方やその現在に至るまでの経緯を調べてみて、この点を改めて認識させられた次第である。
(2016年11月21日「研究員の眼」)
中村 亮一のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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