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右側通行?左側通行?(2)-世界的には歩行者や自動車の通行ルールはどうなっているのか-
保険研究部 研究理事 気候変動リサーチセンター兼任 中村 亮一

はじめに
歩行者の通行ルール
これに対して、そもそも、「歩道等と車道の区別の無い道路」において、対面通行というルールを採用していないケースもある。この場合、人も車も同じサイドを通行することになる。こうしたケースでは、後ろから来る自動車は、前方にいる歩行者を追い越すような場合に、注意を促すために、ホーンを鳴らすことが多くなる。
それにも関わらず、こうしたルールが採用されている理由として、狭い道路で人と車が対面した場合の対応が挙げられている。具体的には、この場合、日本のような「車は左、人は右」という意識があると、対面する自動車と歩行者は、咄嗟に、「車は左、人は右」に避難しようとすることになるが、結果的にこれは両者が同じ方向に移動し、衝突する可能性が高くなることになる1。
一方で、「車も人も右」というような形になっている場合には、対面する自動車も歩行者もそれぞれから見て同じ方向(右側通行の国なら右側、左側通行の国なら左側)に避難することになる。これは、結果的に対面する両者が異なる方向に移動することになるので、衝突を避けることができるようになる。このことから、この方がより望ましいのではないか、との考え方に基づいているようである。
1 これについても、前回の「研究員の眼」で述べたように、「歩行者も左側通行」の意識があれば、歩行者も左に避難することで、衝突が回避できることになる。
自動車の通行ルール
前者は、日本の他に、英国やアイルランドや英連邦のオーストラリア、ニュージーランド、インド、南アフリカ、マレーシア、インドネシア等の国々及びタイが含まれる。後者は、米国、カナダ、メキシコ、ブラジル等の北米・中南米の国々、ドイツ、フランス、イタリア等の欧州大陸諸国に加えて、アジアの中国、韓国、台湾、ベトナム等の国々、ロシアが含まれる。なお、1つの国の中でも必ずしもルールが統一されているわけではなく、例えば、香港及びマカオは、中国返還後も、左側通行となっている。
なお、世界の主流は右側通行であり、人口比では、右側通行が左側通行のほぼ倍程度、道路の総延長距離では、さらに右側通行の比率が高くなっている。
それでは、何故これらの国々が、左側あるいは右側通行になっているのだろうか。
英国等では、何故、自動車は左側通行なのか
日本については、前回の「研究員の眼」で述べたとおりである。英国や日本の植民地ではなかったタイが左側通行なのは、19世紀後半に欧米の制度や技術を導入して近代化を図った際、交通政策等について、主にイギリスの技術者の指導を受けたから、と言われている。
2 英国の旧植民地であっても、独立時等に右側通行に変更した国もある。さらには、エジプトのように、英国の支配下にあったが、それ以前にナポレオンによって支配されていたため、右側通行になっている国もある。

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