- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 家計調査16年9月~8月に続き天候要因が消費を下押しも、先行きは持ち直しへ
2016年10月28日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.消費水準指数は底堅さを維持
総務省が10月28日に公表した家計調査によると、16年9月の実質消費支出は前年比▲2.1%(8月:同▲4.6%)と7ヵ月連続で減少したが、減少幅は前月から大きく縮小し、事前の市場予想(QUICK集計:前年比▲2.7%、当社予想も同▲2.7%)を上回る結果となった。前月比では2.8%(8月:同▲3.7%)の増加となった。月々の振れが大きい住居、自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)は前年比▲0.6%(8月:同▲3.1%)、前月比2.1%(8月:同▲2.3%)となった。
実質消費支出の動きを項目別に見ると、光熱・水道(前年比2.5%)、家具・家事用品(同7.7%)などは増加したが、住居(前年比▲16.9%)、被服及び履物(同▲13.6%)が8月に続き前年比二桁の大幅減少となったことが全体を大きく押し下げた。10項目中4項目が増加、6項目が減少した。
実質消費水準指数(除く住居等、季節調整値)は前月比0.7%(8月:同▲0.5%)と2ヵ月ぶりに上昇したが、7-9月期では前期比▲0.5%(4-6月期:同2.1%)となった。2四半期ぶりの低下だが、4-6月期の高い伸びを考えれば落ち込み幅は小さく、15年末から16年初にかけての水準は明確に上回っており、持ち直しの基調は崩れていない。
実質消費支出の動きを項目別に見ると、光熱・水道(前年比2.5%)、家具・家事用品(同7.7%)などは増加したが、住居(前年比▲16.9%)、被服及び履物(同▲13.6%)が8月に続き前年比二桁の大幅減少となったことが全体を大きく押し下げた。10項目中4項目が増加、6項目が減少した。
実質消費水準指数(除く住居等、季節調整値)は前月比0.7%(8月:同▲0.5%)と2ヵ月ぶりに上昇したが、7-9月期では前期比▲0.5%(4-6月期:同2.1%)となった。2四半期ぶりの低下だが、4-6月期の高い伸びを考えれば落ち込み幅は小さく、15年末から16年初にかけての水準は明確に上回っており、持ち直しの基調は崩れていない。
2.9月の消費関連指標は総じて弱い結果に
家計調査以外の9月の個人消費関連指標を確認すると、商業動態統計の公表は10月31日だが、すでに発表されている百貨店売上高(日本百貨店協会)は8月の前年比▲6.0%(店舗数調整後)の後、9月も同▲5.0%の大幅減少となった。8月に続き台風の上陸が相次いだこと、気温が高めに推移し秋物衣料が不振だったこと、土・日・祝日の数が前年よりも1日少なかったことなど、一時的と思われる消費の下押し要因が重なったことが響いた。特に、百貨店については、円高に伴う購入単価の下落から外国人観光客向けの売上高が6ヵ月連続で前年比二桁の大幅減少となっているため、売上高のマイナス幅が非常に大きくなっている。
一方、8月に9ヵ月ぶりに前年割れとなった外食産業売上高は休日数の少なさ、台風上陸といった悪条件の中でも客数を伸ばしたことから前年比1.5%と2ヵ月ぶりの増加となった。
一方、8月に9ヵ月ぶりに前年割れとなった外食産業売上高は休日数の少なさ、台風上陸といった悪条件の中でも客数を伸ばしたことから前年比1.5%と2ヵ月ぶりの増加となった。
16年9月の消費関連指標は総じて弱い結果となったが、8月に続き一時的な要因によって押し下げられている面もある。
足もとの雇用所得環境を確認すると、名目賃金は伸び悩みが続いているが、雇用者数の高い伸びが雇用者所得を大きく押し上げている。さらに、原油安、円高の影響で物価上昇率がマイナスとなっていることが実質ベースの雇用者所得を大きく押し上げている。実質雇用者所得(一人当たり実質賃金×雇用者数)は16年入り後、前年比で2%台の伸びを続けている。
足もとの雇用所得環境を確認すると、名目賃金は伸び悩みが続いているが、雇用者数の高い伸びが雇用者所得を大きく押し上げている。さらに、原油安、円高の影響で物価上昇率がマイナスとなっていることが実質ベースの雇用者所得を大きく押し上げている。実質雇用者所得(一人当たり実質賃金×雇用者数)は16年入り後、前年比で2%台の伸びを続けている。
(2016年10月28日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/19 | 貿易統計25年2月-関税引き上げ前の駆け込みもあり、貿易収支(季節調整値)が黒字に | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/03/11 | 2024~2026年度経済見通し-24年10-12月期GDP2次速報後改定 | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/03/07 | 可処分所得を下押しする家計負担の増加-インフレ下で求められるブラケットクリープへの対応 | 斎藤 太郎 | 基礎研マンスリー |
2025/03/04 | 法人企業統計24年10-12月期-経常利益(季節調整値)は過去最高を更新したが、設備投資は低調 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年03月19日
日銀短観(3月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは2ポイント低下の12と予想、トランプ関税の影響度に注目 -
2025年03月19日
孤独・孤立対策の推進で必要な手立ては?-自治体は既存の資源や仕組みの活用を、多様な場づくりに向けて民間の役割も重要に -
2025年03月19日
マンションと大規模修繕(6)-中古マンション購入時には修繕・管理情報の確認・理解が大切に -
2025年03月19日
貿易統計25年2月-関税引き上げ前の駆け込みもあり、貿易収支(季節調整値)が黒字に -
2025年03月19日
米住宅着工・許可件数(25年2月)-着工件数(前月比)は悪天候から回復し、前月から大幅増加、市場予想も上回る
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【家計調査16年9月~8月に続き天候要因が消費を下押しも、先行きは持ち直しへ】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
家計調査16年9月~8月に続き天候要因が消費を下押しも、先行きは持ち直しへのレポート Topへ