- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 貿易統計16年9月~7-9月期の外需寄与度は前期比0.4%程度のプラスに
2016年10月24日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.原数値の貿易収支は2ヵ月ぶりの黒字
財務省が10月24日に公表した貿易統計によると、16年9月の貿易収支は4,983億円と2ヵ月ぶりの黒字となり、事前の市場予想(QUICK集計:3,729億円、当社予想は2,207億円)を上回った。円高の影響で輸出入ともに前年比で減少したが、原油価格の下落を反映し輸入の減少幅(8月:前年比▲17.2%→9月:同▲16.3%)が、輸出の減少幅(8月:前年比▲9.6%→9月:同▲6.9%)を大きく上回ったため、貿易収支は前年に比べ6,196億円の大幅改善となった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比4.7%(8月:同0.8%)、輸出価格が前年比▲11.1%(8月:同▲10.3%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲1.6%(8月:同3.8%)、輸入価格が前年比▲14.9%(8月:同▲20.3%)であった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比4.7%(8月:同0.8%)、輸出価格が前年比▲11.1%(8月:同▲10.3%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲1.6%(8月:同3.8%)、輸入価格が前年比▲14.9%(8月:同▲20.3%)であった。
季節調整済の貿易収支は3,490億円の黒字となり、8月の3,644億円から黒字幅が若干縮小した。輸出入ともに増加したが、輸入の増加幅(前月比0.6%)が輸出の増加幅(前月比0.3%)を上回った。
2.7-9月期の輸出数量は前期比プラスに
9月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比4.7%(8月:同▲5.6%)、EU向けが前年比13.2%(8月:同10.2%)、アジア向けが前年比3.1%(8月:同3.3%)となった。
7-9月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比1.1%(4-6月期:同▲1.8%)、EU向けが前期比1.6%(4-6月期:同▲3.0%)、アジア向けが前期比1.6%(4-6月期:同▲1.1%)、全体では前期比1.0%(4-6月期:同▲0.1%)となった。
7-9月期は主要地域向けの輸出数量がいずれも前期比でプラスとなったが、4-6月期はいずれも前期比マイナスとなっており、現時点では一進一退の動きを脱したとは言えない。ただし、海外経済の減速が続く中、16年初からの大幅な円高で輸出環境が依然として厳しいことを考えれば、輸出は横ばい圏で踏みとどまっているとの評価もできるだろう。
一方、7-9月期の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は前期比0.5%(4-6月期:同▲1.0%)と2四半期ぶりの上昇となったが、4-6月期の落ち込みを取り戻していない。国内需要の回復の遅れを反映し、輸入は弱めの動きが続いている。
7-9月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比1.1%(4-6月期:同▲1.8%)、EU向けが前期比1.6%(4-6月期:同▲3.0%)、アジア向けが前期比1.6%(4-6月期:同▲1.1%)、全体では前期比1.0%(4-6月期:同▲0.1%)となった。
7-9月期は主要地域向けの輸出数量がいずれも前期比でプラスとなったが、4-6月期はいずれも前期比マイナスとなっており、現時点では一進一退の動きを脱したとは言えない。ただし、海外経済の減速が続く中、16年初からの大幅な円高で輸出環境が依然として厳しいことを考えれば、輸出は横ばい圏で踏みとどまっているとの評価もできるだろう。
一方、7-9月期の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は前期比0.5%(4-6月期:同▲1.0%)と2四半期ぶりの上昇となったが、4-6月期の落ち込みを取り戻していない。国内需要の回復の遅れを反映し、輸入は弱めの動きが続いている。
3.貿易黒字(季節調整値)は縮小へ
4.7-9月期の外需寄与度は前期比0.4%程度のプラスに
9月までの貿易統計と8月までの国際収支統計の結果を踏まえて、16年7-9月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比2%程度の増加、輸入が前期比▲0.5%程度の減少となることが見込まれる。この結果、7-9月期の外需寄与度は前期比0.4%(4-6月期:前期比▲0.3%)と2四半期ぶりのプラスとなることが予想される。
当研究所では鉱工業生産、家計調査、建築着工統計等の結果を受けて、10/31のweeklyエコノミストレターで7-9月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、企業収益の悪化を背景とした設備投資の低迷、天候不順による民間消費の伸び悩みなどから国内需要は弱い動きとなった模様だが、外需が成長率を大きく押し上げることから前期比年率1%台のプラス成長を予想している。
当研究所では鉱工業生産、家計調査、建築着工統計等の結果を受けて、10/31のweeklyエコノミストレターで7-9月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、企業収益の悪化を背景とした設備投資の低迷、天候不順による民間消費の伸び悩みなどから国内需要は弱い動きとなった模様だが、外需が成長率を大きく押し上げることから前期比年率1%台のプラス成長を予想している。
(2016年10月24日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/11 | 2024~2026年度経済見通し-24年10-12月期GDP2次速報後改定 | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/03/07 | 可処分所得を下押しする家計負担の増加-インフレ下で求められるブラケットクリープへの対応 | 斎藤 太郎 | 基礎研マンスリー |
2025/03/04 | 法人企業統計24年10-12月期-経常利益(季節調整値)は過去最高を更新したが、設備投資は低調 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/03/04 | 雇用関連統計25年1月-女性を中心に労働市場への参入が進む | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年03月18日
長期投資の対象、何が良いのか-S&P500、ナスダック100、先進国株式型で良かった -
2025年03月18日
中国で求められる、働きやすく、子育てしやすい社会の整備【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(68) -
2025年03月18日
グリーン車から考える日本の格差-より多くの人が快適さを享受できる社会へ- -
2025年03月18日
気候変動:アクチュアリースキルの活用-「プラネタリー・ソルベンシー」の枠組みに根差したリスク管理とは? -
2025年03月18日
EUがIRRD(保険再建・破綻処理指令)を最終化-業界団体は負担の軽減とルールの明確化等を要求-
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【貿易統計16年9月~7-9月期の外需寄与度は前期比0.4%程度のプラスに】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
貿易統計16年9月~7-9月期の外需寄与度は前期比0.4%程度のプラスにのレポート Topへ