- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 中国経済 >
- 中国経済:1-9月期を総括した上で2017年に向けた注目ポイントを探る~住宅、民間投資、自動車が焦点に
中国経済:1-9月期を総括した上で2017年に向けた注目ポイントを探る~住宅、民間投資、自動車が焦点に

三尾 幸吉郎
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
- 中国経済の成長率は横ばいで推移している。7-9月期の実質成長率は前年同期比6.7%増と3四半期連続で同6.7%増となった。一方、インフレ率は原油の底打ちなどから1-9月期の消費者物価は前年同期比2.0%上昇と昨年の同1.4%上昇を上回った。工業生産者出荷価格も同2.9%低下と昨年の同5.2%低下から下落ピッチが鈍化、デフレ圧力はやや緩和してきた。
- 供給面の景気指標を確認すると、製造業の工業生産は7%前後で一進一退、製造業PMIも拡張・収縮の境界となる50%を挟む一進一退となっており、製造業は小康状態にある。但し、予想指数が60%近い水準を回復するなど改善の兆しもある。また、非製造業は商務活動指数が53%台を回復したのに加えて、予想指数も高水準で推移するなど堅調な動きを示している。
- 需要面の景気指標を確認すると、小売売上高は、7-9月期は前年同期比10.6%増と1-6月期の同10.3%増を上回った。固定資産投資(除く農家の投資)は、1-3月期は同10.7%増、4-6月期は同7.3%増、7-9月期には同6.6%増と減速傾向が続いている。また、輸出額(ドルベース)は、7-9月期は同6.3%減と1-6月期の同8.2%減からマイナス幅が縮小した。
- 金融政策は、景気重視から住宅バブル退治に重点が移ると見られる。これまで景気対策としてインフラ整備を加速させてきたことや、住宅バブル膨張を黙認したことで住宅販売が急増したため、2016年の成長率目標である“6.5-7%”の達成はほぼ確実となった。2017年に向けては、将来に大きな禍根を残さぬよう住宅バブル退治に注力することになるだろう。
- 2016年1-9月期の中国経済を総括すると、消費は自動車販売の好調に支えられて堅調だったものの、製造業の投資に勢いは無くインフラ投資は息切れ気味となり、投資の減速傾向に歯止めが掛からなかった。2017年に向けての中国経済は、(1)住宅販売・建設の動向(下左図)、(2)民間企業の投資動向、(3)自動車販売の行方(下右図)の3点が注目ポイントといえる。
(2016年10月28日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ
三尾 幸吉郎
三尾 幸吉郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/15 | 図表でみる世界の民主主義-日本の民主主義指数は上昇も、世界平均は低下。世界ではいったい何が起きているのか? | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/12/16 | 図表でみる世界のGDP-日本が置かれている現状と世界のトレンド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/07/30 | 図表でみる世界の人口ピラミッド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/04/05 | 不動産バブルの日中比較と中国経済の展望 | 三尾 幸吉郎 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年05月02日
金利がある世界での資本コスト -
2025年05月02日
保険型投資商品等の利回りは、良好だったが(~2023 欧州)-4年通算ではインフレ率より低い。(EIOPAの報告書の紹介) -
2025年05月02日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その11)-螺旋と渦巻の実例- -
2025年05月02日
ネットでの誹謗中傷-ネット上における許されない発言とは? -
2025年05月02日
雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【中国経済:1-9月期を総括した上で2017年に向けた注目ポイントを探る~住宅、民間投資、自動車が焦点に】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
中国経済:1-9月期を総括した上で2017年に向けた注目ポイントを探る~住宅、民間投資、自動車が焦点にのレポート Topへ