- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 企業物価指数(2016年8月)~前年比で下落幅縮小も、円高で下落基調は継続
2016年09月12日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.国内企業物価は前年比▲3.6%と下落幅を縮小

国内企業物価注1の前年比寄与度をみると、機械類(7月:前年比▲0.18%→8月:同▲0.25%)のマイナス寄与が前月から拡大したものの、為替・海外市況連動型(7月:前年比▲1.57%→8月:同▲1.23%)、電力・都市ガス・水道(7月:前年比▲0.82%→8月:同▲0.76%)、素材(その他)(7月:前年比▲0.90%→8月:同▲0.85%)のマイナス寄与が縮小したため、国内企業物価は前月から下げ幅を縮小した。
為替・海外市況連動型(7月:前年比▲17.7%→8月:同▲14.5%)は、依然大幅な下落を続けているものの、原油価格の持ち直しを反映して下落幅を縮小している。電力・都市ガス・水道(7月:前年比▲12.1%→8月:同▲11.3%)は、既往の原油安を反映した電力・都市ガスの燃料調整などから大幅な下落を続けているが、足もとの原油価格の持ち直しを主因に下げ幅を幾分縮小している。鉄鋼・建材関連(7月:前年比▲3.5%→8月:同▲3.4%)は、スクラップ類の持ち直しなどから、下げ幅は縮小傾向にある。その他(7月:前年比0.2%→8月:同▲0.1%)は、農林水産物の下落を反映してマイナスに転じている。
国内企業物価指数の調査対象品目814品目のうち、前年に比べ上昇したのは232品目、下落は510品目となった。下落品目と上昇品目の差は278品目で7月の287品目から若干縮小したものの、品目数でみた価格の下落傾向が継続している。
注1 1.機械類:はん用機器、生産用機器、業務用機器、電子部品・デバイス、電気機器、情報通信機器、輸送用機器
2.鉄鋼・建材関連:鉄鋼、金属製品、窯業・土石製品、製材・木製品、スクラップ類
3.素材(その他):化学製品、プラスチック製品、繊維製品、パルプ・紙・同製品
4.為替・海外市況連動型:石油・石炭製品、非鉄金属
5.その他:食料品・飲料・たばこ・飼料、その他工業製品、農林水産物、鉱産物
2.輸入物価は円高で下落幅拡大
8月の輸入物価は、契約通貨ベース(7月:前年比▲10.9%→8月:同▲9.9%)では前月から下落幅を縮小したものの、円高の進行を受けて円ベース(7月:前年比▲21.7%→8月:同▲22.0%)では下落幅を拡大した。
輸入物価(円ベース)注2の前年比寄与度をみると、金属・同製品(7月:前年比▲2.03%→8月:同▲1.64%)のマイナス寄与が前月から縮小する一方で、石油・石炭・液化天然ガス(7月:前年比▲10.61%→8月:同▲10.63%)、化学製品(7月:前年比▲1.19%→8月:同▲1.28%)、機械器具(7月:前年比▲4.25%→8月:同▲4.54%)のマイナス寄与が拡大したため、輸入物価(円ベース)は前月から下落幅を拡大した。
石油・石炭・液化天然ガスは、契約通貨ベースでの下落幅(7月:前年比▲25.9%→8月:同▲25.7%)が縮小傾向にある一方で、円ベース(7月:前年比▲36.1%→8月:同▲37.1%)では大幅な下落を続けている。これは、原油価格が緩やかに持ち直すなか、円高進行による下押し圧力が拡大したためと考えられる。先行きは原油価格の上昇が石油製品、液化天然ガスの下落を抑制することから、石油・石炭・天然ガスの下落幅は緩やかに縮小することが見込まれる。
金属・同製品は、円高の進行を主因に円ベース(7月:前年比▲20.8%→8月:同▲17.2%)での下落幅は大幅なマイナスを続けているものの、鉄鉱石や非鉄金属鉱の下げ止まりなどから契約通貨ベース(7月:前年比▲8.3%→8月:同▲2.2%)での下落幅は縮小傾向にある。
輸入物価(円ベース)注2の前年比寄与度をみると、金属・同製品(7月:前年比▲2.03%→8月:同▲1.64%)のマイナス寄与が前月から縮小する一方で、石油・石炭・液化天然ガス(7月:前年比▲10.61%→8月:同▲10.63%)、化学製品(7月:前年比▲1.19%→8月:同▲1.28%)、機械器具(7月:前年比▲4.25%→8月:同▲4.54%)のマイナス寄与が拡大したため、輸入物価(円ベース)は前月から下落幅を拡大した。
石油・石炭・液化天然ガスは、契約通貨ベースでの下落幅(7月:前年比▲25.9%→8月:同▲25.7%)が縮小傾向にある一方で、円ベース(7月:前年比▲36.1%→8月:同▲37.1%)では大幅な下落を続けている。これは、原油価格が緩やかに持ち直すなか、円高進行による下押し圧力が拡大したためと考えられる。先行きは原油価格の上昇が石油製品、液化天然ガスの下落を抑制することから、石油・石炭・天然ガスの下落幅は緩やかに縮小することが見込まれる。
金属・同製品は、円高の進行を主因に円ベース(7月:前年比▲20.8%→8月:同▲17.2%)での下落幅は大幅なマイナスを続けているものの、鉄鉱石や非鉄金属鉱の下げ止まりなどから契約通貨ベース(7月:前年比▲8.3%→8月:同▲2.2%)での下落幅は縮小傾向にある。
注2 1.機械器具:はん用・生産用・業務用機器、電気・電子機器、輸送用機器
2.その他:繊維品、木材・同製品、その他産品・製品
(2016年09月12日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
岡 圭佑
岡 圭佑のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2017/05/10 | 企業の賃上げ意欲を削ぐ社会保障負担 | 岡 圭佑 | 基礎研マンスリー |
2017/03/24 | 企業の賃上げ意欲を削ぐ社会保障負担 | 岡 圭佑 | 基礎研レター |
2017/02/10 | 企業物価指数(2017年1月)~2015年3月以来の上昇、物価は上昇基調へ | 岡 圭佑 | 経済・金融フラッシュ |
2017/02/09 | 景気ウォッチャー調査(17年1月)~回復基調に一服感、トランプ新政権に対する不透明感が重石 | 岡 圭佑 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年03月21日
東南アジア経済の見通し~景気は堅調維持、米通商政策が下振れリスクに -
2025年03月21日
勤務間インターバル制度は日本に定着するのか?~労働時間の適正化と「働きたい人が働ける環境」のバランスを考える~ -
2025年03月21日
医療DXの現状 -
2025年03月21日
英国雇用関連統計(25年2月)-給与(中央値)伸び率は5.0%まで低下 -
2025年03月21日
宇宙天気現象に関するリスク-太陽フレアなどのピークに入っている今日この頃
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【企業物価指数(2016年8月)~前年比で下落幅縮小も、円高で下落基調は継続】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
企業物価指数(2016年8月)~前年比で下落幅縮小も、円高で下落基調は継続のレポート Topへ