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- 【7月米個人所得・消費支出】7-9月期最初の月は、所得、消費とも比較的好調なスタートとなったと判断
2016年08月30日
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1.結果の概要:所得は予想通り、実質消費支出は予想を上回る
8月29日、米商務省の経済分析局(BEA)は7月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は、前月比+0.4%(前月改定値:+0.3%)となり前月から伸びが加速、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の+0.4%に一致した。一方、個人消費支出(名目値)は、前月比+0.3%(前月改定:+0.5%)とこちらは前月を下回ったものの、市場予想(+0.3%)に一致した(図表1)。価格変動の影響を除いた実質個人消費支出は、前月比+0.3%(前月改定:+0.4%)と、+0.3%から上方修正された前月値は下回ったものの、市場予想(+0.2%)を上回った(図表5)。貯蓄率1は5.7%(前月:5.5%)と前月から増加した。
価格指数は、総合指数が前月比横這い(前月:+0.1%)と、前月から伸びが鈍化、市場予想(横這い)には一致した。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は、前月比+0.1%(前月値:+0.1%)と、前月および市場予想(+0.1%)に一致した(図表6)。なお、前年同月比では、総合指数が+0.8%(前月:+0.9%)、コア指数が+1.6%(前月:+1.6%)となり、総合指数は前月から低下、コア指数は前月に一致した(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
価格指数は、総合指数が前月比横這い(前月:+0.1%)と、前月から伸びが鈍化、市場予想(横這い)には一致した。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は、前月比+0.1%(前月値:+0.1%)と、前月および市場予想(+0.1%)に一致した(図表6)。なお、前年同月比では、総合指数が+0.8%(前月:+0.9%)、コア指数が+1.6%(前月:+1.6%)となり、総合指数は前月から低下、コア指数は前月に一致した(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
2.結果の評価:消費余力を残す形で消費の底堅い伸びが持続

さらに、貯蓄率が4ヵ月ぶりに増加に転じており、所得の底堅い伸びが持続する中で消費は所得対比で抑制されているため、消費は余力を残しており、今後の消費の伸びが期待できる状況となっている。
個人消費を取り巻く環境は、6月から2ヵ月連続で雇用者数の増加が月間20万人超と順調な伸びを示しているほか、これまで回復が捗捗しくなかった賃金についても7ヵ月連続で前月比の伸びがプラスになるなど、漸く回復基調が鮮明となっており、労働市場の回復が消費を拡大させる構図に変化はない。さらに、1-3月期の消費不振の遠因ともなった株式市場の動向も、6月下旬こそ英国のEU離脱決定を受けて不安定となったものの、足元では最高値圏での推移となっており株式市場の動向が消費マインドの悪化を通じて消費に影響する状況とはなっていない。このため、当面消費は労働市場の回復を素直に反映して底堅い伸びが持続するとみられる。
物価は、エネルギーと食料品価格の下落が、総合指数を押下げている。もっとも、原油価格は昨年6月にピークをつけた後、年末まで下落基調となっていたことから、現状の40ドル台後半で推移しても、前年比でみた物価押下げ効果は逓減すると見込まれるため、総合指数は今後緩やかに上昇に転じると予想される。一方、コア指数は5ヵ月連続で前年同月比+1.6%の水準となっており、こちらも加速がみられないことから、総合指数が上昇したとしても、コア指数でみた物価上昇圧力は今後も抑制された状況が持続するとみられる。
(2016年08月30日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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