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2016年08月24日
中国経済見通し~上期は持ち直しも下期には再減速へ、景気対策なしでは失速しかねない状況
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今後の投資動向に関しては、過剰設備・過剰債務を抱える製造業は引き続き低水準で推移しそうだ。「中国製造2025」に関連する領域では積極的な投資が期待できるものの、過剰生産設備を抱える分野などでは安価で豊富な労働力を求めて後発新興国へ工場を移転する企業が増えているため、製造業全体では一桁台前半の伸びに留まるだろう。
不動産業の投資に関しては、住宅サイクルが悪循環を脱したことを受けて、当面は伸びが回復する局面にある。しかし、上海や深圳などの巨大都市では住宅価格の急騰でバブル懸念が高まっており、当該都市の地方政府は既に不動産規制の強化に動き出していることから、一桁台半ばの伸びで横ばいと見ている。
消費サービス関連に関しては、店舗販売から電子商取引(EC)へのシフトなど潮流が大きく変化する局面にある。中間所得層の充実が追い風となる文化・体育・娯楽や教育、ECへのシフトで物流網整備関連(農村のサービス拠点、コールドチェーン構築など)の伸びが高まる可能性がある。但し、当面は店舗販売の不振で一桁台での低迷が続くと見られる。
インフラ関連に関しては、中国政府が上期に予算を前倒し執行した反動減が予想される。2016年上期の投資は、民間企業(特に製造業)は落ち込んだものの、インフラ関連が加速したことで支えられていた。その支えが無くなれば投資は失速しかねない。一方、成長率目標(6.5%~7.0%)の達成が危ぶまれる状況となれば、追加の景気テコ入れ策を打ち出す可能性が高い。中国では、大気汚染対策、水質汚染対策、土壌汚染対策、ごみ処理能力増強など環境関連の需要や、中国共産党・政府が2014年3月に発表した「新型都市化計画(2014~2020年)2」に伴う交通物流関連の需要は依然として大きい。
2 新型都市化が生み出す投資需要は巨大で2020年までの累計で42兆元に達すると試算されている(中国財政部)。スケジュールとしては2017年までが試行地域における先行実施期間となり、その成果を踏まえて2018-20年には全国展開される予定。なおこれに関連して、2016年5月11日には投資総額4.7兆元に及ぶ交通インフラ整備3ヵ年計画(2016-18年)が発表された。
不動産業の投資に関しては、住宅サイクルが悪循環を脱したことを受けて、当面は伸びが回復する局面にある。しかし、上海や深圳などの巨大都市では住宅価格の急騰でバブル懸念が高まっており、当該都市の地方政府は既に不動産規制の強化に動き出していることから、一桁台半ばの伸びで横ばいと見ている。
消費サービス関連に関しては、店舗販売から電子商取引(EC)へのシフトなど潮流が大きく変化する局面にある。中間所得層の充実が追い風となる文化・体育・娯楽や教育、ECへのシフトで物流網整備関連(農村のサービス拠点、コールドチェーン構築など)の伸びが高まる可能性がある。但し、当面は店舗販売の不振で一桁台での低迷が続くと見られる。
インフラ関連に関しては、中国政府が上期に予算を前倒し執行した反動減が予想される。2016年上期の投資は、民間企業(特に製造業)は落ち込んだものの、インフラ関連が加速したことで支えられていた。その支えが無くなれば投資は失速しかねない。一方、成長率目標(6.5%~7.0%)の達成が危ぶまれる状況となれば、追加の景気テコ入れ策を打ち出す可能性が高い。中国では、大気汚染対策、水質汚染対策、土壌汚染対策、ごみ処理能力増強など環境関連の需要や、中国共産党・政府が2014年3月に発表した「新型都市化計画(2014~2020年)2」に伴う交通物流関連の需要は依然として大きい。
2 新型都市化が生み出す投資需要は巨大で2020年までの累計で42兆元に達すると試算されている(中国財政部)。スケジュールとしては2017年までが試行地域における先行実施期間となり、その成果を踏まえて2018-20年には全国展開される予定。なおこれに関連して、2016年5月11日には投資総額4.7兆元に及ぶ交通インフラ整備3ヵ年計画(2016-18年)が発表された。
3.金融政策には手詰まり感
2016年上期の金融政策を振り返ると、年明けに株価が急落、人民元が資金流出懸念で売られる中で、中国人民銀行は3月1日に市中銀行から強制的に預かる資金の比率である預金準備率を0.5%引き下げた(図表-11)。過剰設備・過剰債務の調整を進める上で、その痛みを和らげるための措置とされた。また、ドル売り元買い介入が増える中で、金融市場に元建て資金を供給する必要があったことも背景と見られる。一方、中国人民銀行は貸出・預金基準金利の引き下げを見送り、短期金利の代表指標であるSHIBOR(翌日物)は2%前後で横ばい推移となった。年明けの中国では景気が大きく下振れしたため、市場では利下げ期待が高まった。しかし、原油価格が底打ちしたことや春節に食品価格が急騰したことで、消費者物価の上昇率が高まり預金基準金利(1年定期)を上回っていた(図表-12)。また、住宅価格が上昇したことも利下げを見送った背景と思われる。中国の住宅価格は昨年4月を底値に上昇に転じており、特に北京市などの巨大都市では毎月のように最高値を更新、バブル懸念が高まっていた(図表-13)。そこで景気テコ入れのために利下げに踏み切れば、バブル膨張を助長させかねない状況だった。
また、通貨供給量(M2)の動きを見ると、7月は前年同月比10.2%増と「13%前後」とされた政府見通しを大きく下回ってきており、経済への影響が懸念されている(図表-14)。内訳を見ると準通貨「その他預金」の伸び鈍化が目立つ。昨年夏には、株価安定策の影響で「その他預金」が急増した経緯があることから、その反動減の面が大きい(図表-15)。但し、M1が前年同月比25.4%増と高い伸びを示しているにも拘らず、融資残高は同12.9%増と昨年9月の同15.8%増をピークに伸びが鈍化している。この点に関して、中国人民銀行の盛調査統計局長は、企業は資金を投資に回さず貯め込んでいるとして「流動性の罠」の可能性を指摘した。前年割れに落ち込んだ民間企業の投資意欲を回復させるには、金融政策だけでは手詰まり感があることを示唆したものと見られる。
(2016年08月24日「Weekly エコノミスト・レター」)
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三尾 幸吉郎
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