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2016年08月22日
EUソルベンシーIIの動向-UFR(終局フォワードレート)水準の見直しを巡る動きと今後の展望-
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■要旨
生命保険会社の責任準備金の評価において重要な意味を持つ、超長期の金利水準の設定に関連して、EUのソルベンシーIIにおいて、UFR(Ultimate Forward Rate:終局フォワードレート)という概念が導入されている。このUFRについて、通貨ユーロの場合には現在4.2%という水準に設定されていることから、この水準が昨今の金利水準に比較して高く、結果として、責任準備金の過小評価につながっているのではないか、との批判が起きていた。これを受けて、EIOPA(欧州保険年金監督局)において、UFRの見直しに関する議論が進められ、EIOPAは4月20日に「UFRの方法論とその実施に関するコンサルテーション・ペーパー」を公表していた。
なお、こうしたUFRを巡る議論の状況については、これまで、基礎研レター「EUソルベンシーIIの動向―最近のUFR(終局フォワードレート)を巡る議論はどうなっていたのか―」(2016.1.12)(以下、「前回のレター」という)及び保険年金フォーカス「EUソルベンシーIIの動向-EIOPAがUFR(終局フォワードレート)の見直しに関するコンサルテーション・ペーパーを公表-」(2016.4.25)(以下、「前回の保険年金フォーカス」という)で報告してきた。
コンサルテーション・ペーパー(以下「CP」という)に対するコンサルテーション期間は7月18日に締め切られて、関係団体からの意見も公開されていることから、今回のレポートでは、その概要を説明するとともに、こうしたコメントを受けての今後の展望について報告する。
■目次
1―はじめに
2―UFR(終局フォワードレート)の概念及びCPの概要
1|UFRとは
2|現在のUFR水準
3|CPで示されたUFR水準の見直しの概要
3―CPに対する関係団体の意見や反応
1|Insurance Europe(欧州保険協会)の意見
2|DAV(ドイツアクチュアリー会)のコメント
3|GDV(ドイツ保険協会)のコメント
4|Allianz(アリアンツ)のコメント及び反応
5|CFO Forum 及び CRO Forumのコメント
6|DNB(オランダ中央銀行)の反応
4―CPで示されたUFR水準の見直しに伴う影響
1|全体の影響度
2|各国毎の影響度
3|オランダの保険会社の影響度
4|その他の欧州大手保険グループの影響度
5―UFRを巡るその他の動き
1|IAISにおけるICSでの取扱
2|スイスの監督当局FINMAの対応
3|日本の保険会社の対応
6―UFR水準の見直しを巡る今後の展望
1|今回のUFR水準の見直し案に対してはスタンスの違いが存在し、調整が必要な状況
2|EIOPA内の各国の監督当局間でもスタンスの違いが存在-PRAのスタンスが注目-
3|欧州委員会等の関与が不可避な状況か
4|今後の動向については、不透明性が拡大
7―まとめ
生命保険会社の責任準備金の評価において重要な意味を持つ、超長期の金利水準の設定に関連して、EUのソルベンシーIIにおいて、UFR(Ultimate Forward Rate:終局フォワードレート)という概念が導入されている。このUFRについて、通貨ユーロの場合には現在4.2%という水準に設定されていることから、この水準が昨今の金利水準に比較して高く、結果として、責任準備金の過小評価につながっているのではないか、との批判が起きていた。これを受けて、EIOPA(欧州保険年金監督局)において、UFRの見直しに関する議論が進められ、EIOPAは4月20日に「UFRの方法論とその実施に関するコンサルテーション・ペーパー」を公表していた。
なお、こうしたUFRを巡る議論の状況については、これまで、基礎研レター「EUソルベンシーIIの動向―最近のUFR(終局フォワードレート)を巡る議論はどうなっていたのか―」(2016.1.12)(以下、「前回のレター」という)及び保険年金フォーカス「EUソルベンシーIIの動向-EIOPAがUFR(終局フォワードレート)の見直しに関するコンサルテーション・ペーパーを公表-」(2016.4.25)(以下、「前回の保険年金フォーカス」という)で報告してきた。
コンサルテーション・ペーパー(以下「CP」という)に対するコンサルテーション期間は7月18日に締め切られて、関係団体からの意見も公開されていることから、今回のレポートでは、その概要を説明するとともに、こうしたコメントを受けての今後の展望について報告する。
■目次
1―はじめに
2―UFR(終局フォワードレート)の概念及びCPの概要
1|UFRとは
2|現在のUFR水準
3|CPで示されたUFR水準の見直しの概要
3―CPに対する関係団体の意見や反応
1|Insurance Europe(欧州保険協会)の意見
2|DAV(ドイツアクチュアリー会)のコメント
3|GDV(ドイツ保険協会)のコメント
4|Allianz(アリアンツ)のコメント及び反応
5|CFO Forum 及び CRO Forumのコメント
6|DNB(オランダ中央銀行)の反応
4―CPで示されたUFR水準の見直しに伴う影響
1|全体の影響度
2|各国毎の影響度
3|オランダの保険会社の影響度
4|その他の欧州大手保険グループの影響度
5―UFRを巡るその他の動き
1|IAISにおけるICSでの取扱
2|スイスの監督当局FINMAの対応
3|日本の保険会社の対応
6―UFR水準の見直しを巡る今後の展望
1|今回のUFR水準の見直し案に対してはスタンスの違いが存在し、調整が必要な状況
2|EIOPA内の各国の監督当局間でもスタンスの違いが存在-PRAのスタンスが注目-
3|欧州委員会等の関与が不可避な状況か
4|今後の動向については、不透明性が拡大
7―まとめ
1―はじめに
生命保険会社の責任準備金の評価において重要な意味を持つ、超長期の金利水準の設定に関連して、EUのソルベンシーIIにおいて、UFR(Ultimate Forward Rate:終局フォワードレート)という概念が導入されている。このUFRについて、通貨ユーロの場合には現在4.2%という水準に設定されていることから、この水準が昨今の金利水準に比較して高く、結果として、責任準備金の過小評価につながっているのではないか、との批判が起きていた。これを受けて、EIOPA(欧州保険年金監督局)において、UFRの見直しに関する議論が進められ、EIOPAは4月20日に「UFRの方法論とその実施に関するコンサルテーション・ペーパー」を公表していた。
なお、こうしたUFRを巡る議論の状況については、これまで、基礎研レター「EUソルベンシーIIの動向―最近のUFR(終局フォワードレート)を巡る議論はどうなっていたのか―」(2016.1.12)(以下、「前回のレター」という)及び保険年金フォーカス「EUソルベンシーIIの動向-EIOPAがUFR(終局フォワードレート)の見直しに関するコンサルテーション・ペーパーを公表-」(2016.4.25)(以下、「前回の保険年金フォーカス」という)で報告してきた。
コンサルテーション・ペーパー(以下「CP」という)に対するコンサルテーション期間は7月18日に締め切られて、関係団体からの意見も公開されている1ことから、今回のレポートでは、その概要を説明するとともに、こうしたコメントを受けての今後の展望について報告する。
なお、こうしたUFRを巡る議論の状況については、これまで、基礎研レター「EUソルベンシーIIの動向―最近のUFR(終局フォワードレート)を巡る議論はどうなっていたのか―」(2016.1.12)(以下、「前回のレター」という)及び保険年金フォーカス「EUソルベンシーIIの動向-EIOPAがUFR(終局フォワードレート)の見直しに関するコンサルテーション・ペーパーを公表-」(2016.4.25)(以下、「前回の保険年金フォーカス」という)で報告してきた。
コンサルテーション・ペーパー(以下「CP」という)に対するコンサルテーション期間は7月18日に締め切られて、関係団体からの意見も公開されている1ことから、今回のレポートでは、その概要を説明するとともに、こうしたコメントを受けての今後の展望について報告する。
(2016年08月22日「基礎研レポート」)
中村 亮一のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
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