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- 【インドネシア4-6月期GDP】前年同期比5.18%増~消費は堅調で景気の回復基調を維持
2016年08月05日
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インドネシアの2016年4-6月期の実質GDP成長率1は前年同期比(原系列)5.18%増と、前期の同4.91%増から上昇、また市場予想2の同5.00%増を上回った。
需要項目別に見ると、輸出の低迷が続くと共に投資もやや鈍化したが、民間消費と政府消費が堅調だったことが成長率の上昇に繋がったと分かる(図表1)。
GDPの約6割を占める民間消費(対家計民間非営利団体含む)は前年同期比5.08%増(前期:同4.97%増)と、7四半期ぶりの5%台に上昇した。食料・飲料やアパレル、ホテル・レストランなど幅広く分野で上昇した。
また政府消費は前年同期比6.26%増(前期:同2.93%増)と上昇した。予算執行は昨年前半こそ省庁再編や予算見直しの影響で遅れていたが、今年は順調であることが寄与したと見られる。
総固定資本形成は前年同期比5.06%増となり、前期の同5.57%増からやや低下した。牽引役である建設投資が伸び悩んだことが全体を押し下げた。機械・設備と自動車は前期に続いて低迷した。
外需については、輸出が前年同期比2.72%減(前期:同3.88%減)と上昇したものの、7期連続のマイナスとなった。石油・ガス輸出は価格上昇の影響で鈍化した一方、非石油・ガス輸出はマイナス幅が縮小した。また輸入は前年同期比3.02%減(前期:同4.24%減)と消費需要の持ち直しでマイナス幅が縮小した。その結果、外需の成長率への寄与度は+0.02%ポイントと、前期(+0.29%ポイント)から縮小した。
供給項目別に見ると、鉱工業が伸び悩んだものの、全体の約7割を占めるサービス業と農林水産業が上昇した(図表2)。
鉱工業では、製造業が前年同期比4.74%増(前期:同4.62%増)と若干上昇したものの、鉱業が同0.73%減(前期:同1.29%減)と石炭需要の鈍化を受けて6期連続のマイナスとなったほか建設業が同6.21%増(前期:同7.86%増)と低下した。
サービス業では、金融・保険が同13.47%増(前期:同9.25%増)と大きく上昇した。その他は情報・通信が同8.45%増(前期:同8.33%増)、卸売・小売が同4.07%増(前期:同4.04%増)不動産が前年同期比4.41%増(前期:同4.93%増)、教育サービスが同5.58%増(前期:同5.62%増)、ホテル・レストランが同4.99%増(前期:同5.63%増)、運輸・倉庫が同6.82%増(前期:同7.95%増)、行政・国防が同4.71%増(前期:同5.16%増)と全体的に低下した業種が多かった。
農林水産業では、農業が同3.24%増と、エルニーニョ現象の影響でコメの収穫期が4月以降にずれ込んだために前期(同1.77%増)から上昇した。
需要項目別に見ると、輸出の低迷が続くと共に投資もやや鈍化したが、民間消費と政府消費が堅調だったことが成長率の上昇に繋がったと分かる(図表1)。
GDPの約6割を占める民間消費(対家計民間非営利団体含む)は前年同期比5.08%増(前期:同4.97%増)と、7四半期ぶりの5%台に上昇した。食料・飲料やアパレル、ホテル・レストランなど幅広く分野で上昇した。
また政府消費は前年同期比6.26%増(前期:同2.93%増)と上昇した。予算執行は昨年前半こそ省庁再編や予算見直しの影響で遅れていたが、今年は順調であることが寄与したと見られる。
総固定資本形成は前年同期比5.06%増となり、前期の同5.57%増からやや低下した。牽引役である建設投資が伸び悩んだことが全体を押し下げた。機械・設備と自動車は前期に続いて低迷した。
外需については、輸出が前年同期比2.72%減(前期:同3.88%減)と上昇したものの、7期連続のマイナスとなった。石油・ガス輸出は価格上昇の影響で鈍化した一方、非石油・ガス輸出はマイナス幅が縮小した。また輸入は前年同期比3.02%減(前期:同4.24%減)と消費需要の持ち直しでマイナス幅が縮小した。その結果、外需の成長率への寄与度は+0.02%ポイントと、前期(+0.29%ポイント)から縮小した。
供給項目別に見ると、鉱工業が伸び悩んだものの、全体の約7割を占めるサービス業と農林水産業が上昇した(図表2)。
鉱工業では、製造業が前年同期比4.74%増(前期:同4.62%増)と若干上昇したものの、鉱業が同0.73%減(前期:同1.29%減)と石炭需要の鈍化を受けて6期連続のマイナスとなったほか建設業が同6.21%増(前期:同7.86%増)と低下した。
サービス業では、金融・保険が同13.47%増(前期:同9.25%増)と大きく上昇した。その他は情報・通信が同8.45%増(前期:同8.33%増)、卸売・小売が同4.07%増(前期:同4.04%増)不動産が前年同期比4.41%増(前期:同4.93%増)、教育サービスが同5.58%増(前期:同5.62%増)、ホテル・レストランが同4.99%増(前期:同5.63%増)、運輸・倉庫が同6.82%増(前期:同7.95%増)、行政・国防が同4.71%増(前期:同5.16%増)と全体的に低下した業種が多かった。
農林水産業では、農業が同3.24%増と、エルニーニョ現象の影響でコメの収穫期が4月以降にずれ込んだために前期(同1.77%増)から上昇した。
同国経済は国際商品市況の下落や中国経済の減速を受けて景気停滞局面が続いていたが、原油安を契機に燃料補助金削減を削減した一方で、拡充したインフラ予算の執行が昨年半ばに加速し、景気が底打ちした。現在は5%前後の成長率が続いており、経済環境は昨年から好転している。
同国では、15年11月に燃料補助金削減に伴うインフレ圧力が剥落し、今年2月には原油価格の反転によって通貨が上昇したことから、7月のCPI上昇率は前年同月比3.2%増とラマダン期間にもかかわらず、中央銀行のインフレ目標(2~5%)の下方で安定している(図表3)。そして中央銀行は物価の低位安定と経常赤字が2%近くまで縮小していることを評価し、年明けから4度の利下げを実施している。直近では金融政策は8月の政策金利指標の変更を考慮して据え置かれているものの、低インフレ環境を踏まえれば追加の利下げ余地はある。従って、今秋からは追加利下げも見込まれ、景気には追い風が吹く。このように、ここ数年インドネシアが晒されてきた高インフレ・高金利は和らいでおり、4-6月期の自動車販売台数は前年比22.2%増と好調で、実質小売売上指数も上昇基調にある(図表4)。また消費者と企業の景況感も上向いており、これまで停滞していた民間消費と民間投資は緩やかな持ち直しが続くだろう(図表5)。
同国では、15年11月に燃料補助金削減に伴うインフレ圧力が剥落し、今年2月には原油価格の反転によって通貨が上昇したことから、7月のCPI上昇率は前年同月比3.2%増とラマダン期間にもかかわらず、中央銀行のインフレ目標(2~5%)の下方で安定している(図表3)。そして中央銀行は物価の低位安定と経常赤字が2%近くまで縮小していることを評価し、年明けから4度の利下げを実施している。直近では金融政策は8月の政策金利指標の変更を考慮して据え置かれているものの、低インフレ環境を踏まえれば追加の利下げ余地はある。従って、今秋からは追加利下げも見込まれ、景気には追い風が吹く。このように、ここ数年インドネシアが晒されてきた高インフレ・高金利は和らいでおり、4-6月期の自動車販売台数は前年比22.2%増と好調で、実質小売売上指数も上昇基調にある(図表4)。また消費者と企業の景況感も上向いており、これまで停滞していた民間消費と民間投資は緩やかな持ち直しが続くだろう(図表5)。

今年7月、ジョコ大統領は昨年に続いて内閣改造を実施し、財務相としてスリ・ムルヤニ世銀専務理事を迎えた。スリ氏はユドヨノ政権下で、国家開発企画長官や経済調整相、財務相を歴任し、国内における評価も高い人物だ。今後はスリ新財務相のもとで第2次補正予算の編成に入る。インフラ整備や教育費、保険関係費は残りの5ヵ月で適切に執行するとしているが、歳入不足を考慮した現実的な予算編成を組むことで財政への信用を取り戻す方針であるだけに、第1次補正予算に続いて第2次補正予算でも支出カットは避けられず、景気への影響が懸念される。今後、公表される補正予算の内容に注目が集まる。
1 8月5日、インドネシア統計局(BPS)が2016年4-6月期の国内総生産(GDP)を公表した。
2 Bloomberg調査
(2016年08月05日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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