- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 年金 >
- 年金資産運用 >
- ボラティリティーの変化に依存する運用戦略の比較
カバードコール戦略(CC戦略)は、株価変動リスクと、ボラティリティー変動リスクを同時にとって、一定のオプション・プレミアムを獲得しながら、リスクとリターンで見て効率的な運用を目指す運用戦略である。今回の分析期間中、一定の効果が確認された。しかし、これらは過去の分析の一例であり、今後もこのようなことが継続するとは限らない。どのような環境で運用成果が異なるか、予め分析しておくことは重要である。
図表6は、予測ボラティリティーを低・中・高の3分類、また、株式リターンを低・中・高の3分類にし、TV戦略の日経平均株価に対する超過リターンを比較したものである。本来であれば、リスク調整後のリターンを検討すべきところではあるが、単純化のために両者の差を比較した。TV戦略は、もともと株式配分を抑えた運用であるため、株価が値下がりした際には相対的に良く、値上がりした場合には悪いことが予想できる。さらに、ボラティリティーの水準に応じて、結果は異なってくるはずである。
図表7は、CC戦略の日経平均株価に対する超過リターンを比較したものである。CC戦略は株式リターンが低い場合に超過リターンがプラスであった(1%有意水準)。その中で、予測ボラティリティーの水準では超過リターンは大きくは違わない。一方、株式リターンが高い場合は、超過リターンが負である(1%有意水準)。特に、予測ボラティリティーは低い場合と、高い場合で、マイナス幅が拡大している。前者は、ボラティリティーが低いため、オプション・プレミアムが低いことが要因であろう。後者は、株価の値上がりによるコールのショート(ストラドルのショート)からの損失が要因であろう。
CC戦略は、(予測)ボラティリティーの水準の違いにより、TV戦略と比較して、超過リターンは変化しない(灰色線・黄色線)。オプションを含む戦略なので、ボラティリティーの水準によって運用成果が異なるものと予測されたが、今回の検証では、株価の変動からの損益の影響の方が、相対的に大きなものであったと考えられる。
このレポートの関連カテゴリ
北村 智紀
研究・専門分野
(2016年07月05日「ニッセイ年金ストラテジー」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月30日
今週のレポート・コラムまとめ【4/23-4/26発行分】 -
2024年04月26日
ドイツの産業空洞化リスク-グローバル化逆回転はドイツへの逆風、日本への追い風か?- -
2024年04月26日
米GDP(24年1-3月期)-前期比年率+1.6%と前期から低下、市場予想の+2.5%も大幅に下回る -
2024年04月26日
滞留するふるさと納税 -
2024年04月26日
EUのDMA関連調査開始決定-GAFAそれぞれの問題を指摘
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【ボラティリティーの変化に依存する運用戦略の比較】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
ボラティリティーの変化に依存する運用戦略の比較のレポート Topへ