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- 東京のマンション、実はそこまで高くない!?~修正年収倍率による東京マンション市場の分析~
2016年05月26日
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3――東京マンション市場の年収倍率と修正年収倍率の分析
東京マンション市場のファンダメンタルズを分析するため、最初に東京都の年収倍率と修正年収倍率を算出した。次に、地域毎の特徴を把握するため、東京都区部(東京23区)と東京都下(多摩地域)にわけて、両倍率を算出4し、分析を行った。
1|東京都の年収倍率と修正年収倍率の推移
2015年の東京都の年収倍率は9.8倍と前年比10.5%上昇した(図表―3)。2013年にミニバブル期のピークである2008年の8.6倍を上回り、2014年は横ばいで推移したものの、2015年はミニバブル期を大幅に上回る水準まで上昇した。バブル期に次ぐ水準まで上昇していることからも、年収倍率だけを見ると、過熱感が強い状況であることがうかがえる。
一方、住宅ローンの要素も考慮に入れると、どのように見え方が変わるのだろうか。2015年の修正年収倍率は12.3倍と前年比7.8%上昇した。足元では上昇しているものの、依然としてミニバブル期のピークである2008年の12.8倍よりは低い。また2010年以降の平均である11.5倍からの乖離も6.2%と限られ、最小値である2012年の10.9倍からの上昇率も12.9%と、過度な上昇を示しているわけではない。過去数年と比較して高い水準にはあるが、一概にファンダメンタルズから逸脱していると判断できるほどの動きを示してはいない。
1|東京都の年収倍率と修正年収倍率の推移
2015年の東京都の年収倍率は9.8倍と前年比10.5%上昇した(図表―3)。2013年にミニバブル期のピークである2008年の8.6倍を上回り、2014年は横ばいで推移したものの、2015年はミニバブル期を大幅に上回る水準まで上昇した。バブル期に次ぐ水準まで上昇していることからも、年収倍率だけを見ると、過熱感が強い状況であることがうかがえる。
一方、住宅ローンの要素も考慮に入れると、どのように見え方が変わるのだろうか。2015年の修正年収倍率は12.3倍と前年比7.8%上昇した。足元では上昇しているものの、依然としてミニバブル期のピークである2008年の12.8倍よりは低い。また2010年以降の平均である11.5倍からの乖離も6.2%と限られ、最小値である2012年の10.9倍からの上昇率も12.9%と、過度な上昇を示しているわけではない。過去数年と比較して高い水準にはあるが、一概にファンダメンタルズから逸脱していると判断できるほどの動きを示してはいない。
東京都のマンション価格は、過去数年と比較して高い。但し、住宅ローン金利低下による住宅取得者の購買力改善を考慮すれば、不動産バブルと結論付けるのは時期尚早だと言えるのではないだろうか。
4 東京都区部、東京都下の倍率を算出する際も、東京都の平均年収を利用した。
5 住宅ローン総利息額の変化には、マンション価格と住宅ローン金利の両者の変動の影響が含まれる。
4 東京都区部、東京都下の倍率を算出する際も、東京都の平均年収を利用した。
5 住宅ローン総利息額の変化には、マンション価格と住宅ローン金利の両者の変動の影響が含まれる。
(2016年05月26日「基礎研レポート」)
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経歴
- 【職歴】 2006年4月 住友信託銀行(現 三井住友信託銀行) 2013年10月 国際石油開発帝石(現 INPEX) 2015年9月 ニッセイ基礎研究所 2019年1月 ラサール不動産投資顧問 2020年5月 ニッセイ基礎研究所 2022年7月より現職 【加入団体等】 ・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター ・日本証券アナリスト協会検定会員
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