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- 景気ウォッチャー調査(16年4月)~円高・株安に加え、熊本地震の影響で2014年11月以来の低水準
1.景気の現状判断DI:2014年11月以来の低水準
4月調査では引続きインバウンド需要が景況感の改善要因となる一方で、中国の景気減速や株安・円高に加え、熊本地震によるマインド面の下押しも加わった格好だ。調査期間が4月25日から月末であるため、4月14日に発生した熊本地震の影響が色濃く反映される結果となった。家計動向関連は株安、円高による消費者マインドの抑制もあり小売関連を中心に弱さがみられ、企業動向関連は年初から悪化基調が続いている。
コメントをみると、中国の景気減速関連や円高・株安関連のものをはじめ、景況感の下押し材料は多く存在する(最終頁の図参照)。これまで景況感の悪化に働いていたマイナス金利政策や原油安に関するコメントは減少傾向にある。しかし、マイナス金利政策の効果に対して懐疑的な見方は依然根強く、原油安についても同様景況感の下押し要因となっている。また、景況感の悪化要因となっていた物価上昇への懸念は和らぎつつあるが、急激な原油安や円高もありデフレを警戒する声も一部で聞かれた。
2.円高・株安に加え、熊本地震の影響でマインドは一段と悪化
飲食関連では、花見時期を狙った訪日客の増加もあり「当月は花見目当てのインバウンド客が前年に比べて非常に増え、一般客も前年並みで、総じてやや伸びている状況である」(中国・一般レストラン)といったコメントが多く寄せられた。その一方で、「4月初めは花見などで人の往来が激しく、来客数も伸びて順調であったが、熊本地震以来は外食する気にならないのか、来客数も減っている」(近畿・一般レストラン)などのように、熊本地震による自粛ムードの広がりを懸念するコメントも見受けられた。
住宅関連では、「期末直前の追い上げや消費再増税に対する客の動きの活発化等、やや良い方向である。マイナス金利も、住宅に関して後押しする材料になっている」(東海・住宅販売会社)といったように、住宅市場ではマイナス金利が需要増加につながるとして景況感の押し上げ要因となっている。
企業動向関連は、製造業(前月差▲1.3ポイント)、非製造業(同▲1.1ポイント)ともに前月から悪化した。コメントをみると、「国の政策が有効に機能していないことに加えて、熊本地震の影響などにより、消費者の購買マインドが冷えてきている」(北海道・家具製造業)など、熊本地震によるマインド悪化が影響した模様。また、「円高傾向にあることが要因で受注量や販売量の動きがやや良くない」(中国・電気機械器具製造業)など円高の影響を懸念する声も目立つ。
雇用関連は4ヵ月連続で悪化し、2014年12月以来初めて節目の50を割り込むなど改善の動きに一服感がみられる。「景気が急激に悪くなっているように感じないが、前年に比べて売上等が下がり、少しずつ悪くなっている。人件費を抑えるため、人員削減や地方への事業所移転等の話が出ている」(南関東・求人情報誌製作会社)や「製造業において、事業縮小により従業員を解雇する事業所が複数派生している」(東北・職業安定所)などのように、企業業績の悪化で雇用情勢に不透明感が高まっている様子が窺える。
3.先行きは3ヵ月連続の悪化、停滞色が強まる
企業動向関連は、「熊本地震によるサブプライムチェーンの寸断などで、平常の売上はしばらく確保できない」(北陸・プラスチック製品製造業)など、熊本地震の影響で先行きに対して悲観的な見方が広がっている模様。一方、「伊勢志摩サミット関連の盛り上がりやポストサミットの経済効果に期待したい」(東海・食料品製造業)といったように、5月下旬に控える伊勢志摩サミットの効果を期待する声が聞かれた。
雇用関連は、「熊本地震の影響が減産から人材へ徐々に出始めている」(中国・人材派遣会社)や「景況感も良くなく、求人数も減少傾向が続いている」(北海道・求人情報誌製作会社)など、景気の先行き不安から雇用環境が厳しくなるとの懸念も高まっている。
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岡 圭佑
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(2016年05月13日「経済・金融フラッシュ」)
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