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- 中国経済と住宅バブル~住宅バブルか財政悪化かの選択を迫られる局面へ
2016年04月28日
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1.1-3月期の経済概況
その他の景気指標を見ると、消費の伸びは鈍ったものの投資の伸びが改善したことが分かる。消費の代表指標である小売売上高の動きを見ると、1-3月期は名目で前年同期比10.3%増と前四半期の同11.3%増(推定1)を1.0ポイント下回っており、価格要素を排除した実質でも同9.7%増と前四半期の同10.9%増(推定)を1.2ポイント下回った。3月単月では前年同月比10.5%増と1-2月期の前年同期比10.2%増を上回ったものの小幅改善に留まっている(図表-2)。今後も冴えない企業収益を背景に賃金の伸び加速は期待できず、インフレ率の底打ちで実質所得が目減りすることから、中間所得層の充実で底堅いとはいえ昨年の高い伸びを上回るのは難しいだろう。
一方、投資の代表指標である固定資産投資(除く農家の投資)の動きを見ると、1-3月期は名目で前年同期比10.7%増と前四半期の同9.1%増(推定)を1.6ポイント上回っており、価格要素を排除した実質でも同13.8%増と前四半期の同12.0%増(推定)を1.8ポイント上回った。また、3月単月では前年同月比11.7%増(推定)と1-2月期の前年同期比10.2%増をさらに上回り、改善の動きが明確となってきた(図表-3)。
一方、投資の代表指標である固定資産投資(除く農家の投資)の動きを見ると、1-3月期は名目で前年同期比10.7%増と前四半期の同9.1%増(推定)を1.6ポイント上回っており、価格要素を排除した実質でも同13.8%増と前四半期の同12.0%増(推定)を1.8ポイント上回った。また、3月単月では前年同月比11.7%増(推定)と1-2月期の前年同期比10.2%増をさらに上回り、改善の動きが明確となってきた(図表-3)。
1 中国では、統計方法の改定時に新基準で計測した過去の数値を公表しない場合が多く、また1月からの年度累計で公表される統計も多い。本稿では、四半期毎の伸びを見るためなどの目的で、ニッセイ基礎研究所で中国国家統計局などが公表したデータを元に推定した数値を掲載している。またその場合には“(推定)”と付して公表された数値と区別している。
2.投資が改善した背景
3.住宅サイクル(住宅価格、販売、在庫、新規着工)
1|住宅価格は上昇傾向
中国では住宅価格の上昇傾向が続いている。新築分譲住宅価格(除く保障性住宅 )の推移を見ると、図表-8に示したように2014年秋には前月比で上昇した都市はゼロと全ての都市で下落していたが、2015年には徐々に反転上昇する都市が増え、2016年3月には9割弱にあたる62都市で前月より上昇することとなった。中国国家統計局は70都市平均の価格指数を公表していないが、全体的傾向を捉えるため当研究所で単純平均したところ、3月は前月比0.87%上昇と2015年4月をボトムにして3.4%上昇している。2014年4月のピークに比べるとまだ3.3%低い価格水準にあるものの、ちょうど「半値戻し」を達成した水準にあるといえるだろう(図表-9)。
中国では住宅価格の上昇傾向が続いている。新築分譲住宅価格(除く保障性住宅 )の推移を見ると、図表-8に示したように2014年秋には前月比で上昇した都市はゼロと全ての都市で下落していたが、2015年には徐々に反転上昇する都市が増え、2016年3月には9割弱にあたる62都市で前月より上昇することとなった。中国国家統計局は70都市平均の価格指数を公表していないが、全体的傾向を捉えるため当研究所で単純平均したところ、3月は前月比0.87%上昇と2015年4月をボトムにして3.4%上昇している。2014年4月のピークに比べるとまだ3.3%低い価格水準にあるものの、ちょうど「半値戻し」を達成した水準にあるといえるだろう(図表-9)。
(2016年04月28日「Weekly エコノミスト・レター」)
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