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正規分布の生保での活用例-中心極限定理は、保険数理をどのように支えているか?
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
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正規分布に関連する重要な定理として、「中心極限定理」がある。簡単に、内容を見てみよう。
分散が存在するようなデータの母集団を考える。この母集団から、標本データをいくつか取り出して、その平均を計算してみよう。この標本データの平均のことを、「標本平均」と呼ぶ。取り出す標本データの数を、どんどん増やしていくと、標本平均はどうなるだろうか。
実は、データの母集団が、二項分布や、ポアソン分布など、どのような分布であったとしても、標本平均は、母集団の真の平均を中心とした、正規分布に、近似的に従うことになる。
中心極限定理により、多数の標本データを取り出すと、標本平均が正規分布に近づいていく。そして、ここが重要なポイントなのだが、正規分布という、明確なゴールに近づいていくため、標本平均が母集団の真の平均から、ぶれる場合の、ぶれ幅や、その確率が計算できることになる。
具体的には、各標本データについて、標本データの値と、標本平均の差の二乗をとって、その合計を標本データの数で除して平方根をとったものを、「標本標準偏差」と呼ぶ。(なお、標本データの数があまり大きくない場合は、標本データの数ではなく、標本データの数から1を引いた数、で除す。)この標本標準偏差を、標本データの数の平方根で除したものを、「標準誤差」と呼ぶ。
標本平均のぶれが、母集団の真の平均から、標準誤差の範囲内にとどまる確率は、68.3%となる。同様に、ぶれが、標準誤差の2倍に納まる確率は、95.4%、3倍に納まる確率は、99.7%となる。
この2.3%とは、標本データを100回取り出したら、そのうちの97.7回は通常の予測の範囲に納まるが、2.3回は通常の予測を超える、ということを意味する。なお、仮に、通常の予測を超える範囲の、高い死亡率が生じた場合でも、ふつうは、すぐに保険金の支払いに支障が生じることはない。保険会社は、別途、危険準備金などの準備金や、自己資本を積み立てており、保険金の支払いに支障が生じないよう、盤石な健全性を築いている。
生命保険で用いられている保険数理は、高等学校の数学で出てくる正規分布がベースになっている。これは、少し、正規分布を身近に感じることのできる活用例だと思われるが、いかがだろうか。
(2016年04月04日「研究員の眼」)
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