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日本の生命保険業績動向 ざっくり30年史(5) 資産運用関係収支の推移
保険研究部 主任研究員 年金総合リサーチセンター・気候変動リサーチセンター兼任 安井 義浩
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今回は資産運用収支の推移をみた。最も主要な利息配当金については、市中金利低下に伴い、利回り低下を余儀なくされる中、運用の工夫により、現在は下げ止まっている。しかしなおマイナス金利という厳しい状況が続いている。キャピタル損益については、株安または円高時には、多額の有価証券売却損・評価損、為替差損等の計上を迫られる中、残る有価証券含み益や価格変動準備金を使って、それを補ってきた。また、1995~2000年頃は不良債権処理などにより、大きな損失を出した時期もあった。しかし、そうした苦況だからこそ、リスク管理やディスクロージャーが進展してきた面もある。
■目次
1――利息配当金等の基礎収支の推移
2――キャピタル収支の推移
3――その他の特徴的な状況~不良債権と不動産
以下で、これらを利息配当金関係とキャピタル関係に分けてみていこう。
不動産賃貸料も、構成比は小さいながら比較的安定した規模で推移している。
金利が高かった頃は、預貯金利息も一定の規模で存在していたが、いまはほとんどないといってもいい。金銭の信託は、以前はよく利用されていた。金銭の信託の運用益は、インカム性の収支にカウントされるのが一般的であるが、中身まで見にいくと、実態は有価証券の売買益だったりする。従って、キャピタルをインカム化し、利差配当を大きくする目的で利用価値もある(あった?)のだが、株価の低迷、逆ざやの時を経て、利差配当に期待できなくなった現在はそれほど使われていない。また金融商品会計上も「売買目的有価証券」とされ、その規定より、時価の増減がダイレクトに損益計算書に表示されるので、使いにくい面もあろう。
国債を中心とした国内債券の構成比が上昇してきたことや、一部の株式構成比の大きい会社で株式配当金収入が復活してきたこともあって、金額規模としては、利息配当金は一時の減少傾向を脱して増加に転じてきたが、利回りベースでみるとそうでもなく、以下のようになる。
利息・配当金の増収策としては、いくつか考えられるし、資産運用担当者を常に悩ませる問題であろう。例えば、同じ国債を保有するにしても、20年債など長いものにすれば、通常利回りは稼げる。ただし、金利が上がると時価が大きく下がるなど、変動リスクが大きい。またALMの観点からは、負債の規模・期間とマッチさせる必要もあろう。社債を増加させたら?これは信用リスクをとることの裏返しである。では、利回りの高い外国債券にしたらどうか?これには為替変動のリスクがついてまわる。それぞれ、より高度なリスク管理がセットで必要となってくる。
また、株式は増やせない中でも、投資信託といったかたちで、実質的な売買益を利息配当金に含めたらどうか?・・とまでくると、だんだん安定した利息配当の増収という本質からずれてくるのだが、それはともかく、利回りの下げ止まりは各社の資産運用努力・工夫が反映しているものと思いたい。
(2016年03月08日「基礎研レター」)
03-3512-1833
- 【職歴】
1987年 日本生命保険相互会社入社
・主計部、財務企画部、調査部、ニッセイ同和損害保険(現 あいおいニッセイ同和損害保険)(2007年‐2010年)を経て
2012年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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