- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 中国経済 >
- 中国の経済構造改革とは何か~日本にとってはピンチだけでなくチャンスも!
2015年12月18日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
- 2015年の中国経済を振り返ると、1-9月期の成長率は実質で前年同期比6.9%増と前年よりも0.4ポイント低下した。もっと低いのでは?との見方もあって議論になっているが、確かなのは構造変化が進んでいることで、第2次産業の伸び鈍化と第3次産業の堅調(伸び横ばい)、投資の伸び鈍化と消費の堅調(伸び横ばい)という“ふたつの二極化”が起きている。
- 中国経済を「世界の工場」に導いた従来の成長モデルは限界に達しており、対内直接投資が伸び悩むとともに対外直接投資が急激に増えてきた。中国経済を供給面から見ると世界における製造業シェアがGDPシェアを10ポイントも上回る過剰設備の状態にあり、需要面から見ると投資の比率が諸外国と比べて突出して大きい過剰投資の状態にある。そして、この過剰設備(又は過剰投資)の調整を進めれば、成長率を押し下げる大きな負のインパクトをもたらす。
- 中国政府はこの負のインパクトを和らげようと、新たな成長モデルを構築するための構造改革を進めている。具体的には、需要面では外需依存から内需主導への構造転換、供給面では製造大国から製造強国への構造転換、同じく供給面では第2次産業から第3次産業への構造転換の3点である。この構造改革を三面等価の観点から再整理すると下図表のようなイメージになる。
- この構造改革に成功しても中国の成長率鈍化は避けられない。しかし、成長の壁を克服するには他に道がないため、この構造改革は今後も続くだろう。従って、“ふたつの二極化”も長く続くトレンドと思われる。これは日本にも影響を及ぼしており、中国へ工業原料・部品を輸出してきた日本企業はピンチ、中国本土からの訪日旅行者に関連するビジネスにはチャンスが訪れている。また、ピンチを迎えた日本企業にも新たにチャンスの芽がでてきている。
(2015年12月18日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ
三尾 幸吉郎
三尾 幸吉郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/12/16 | 図表でみる世界のGDP-日本が置かれている現状と世界のトレンド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/07/30 | 図表でみる世界の人口ピラミッド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/04/05 | 不動産バブルの日中比較と中国経済の展望 | 三尾 幸吉郎 | 基礎研マンスリー |
2024/03/11 | Comparison of Real Estate Bubbles in China and Japan, and Prospects for the Chinese Economy | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年03月26日
語られる空き家、照らされる人生-物語がもたらす価値の連鎖- -
2025年03月26日
決済デジタル化は経済成長につながったのか-デジタル決済がもたらす新たな競争環境と需要創出への道筋 -
2025年03月26日
インバウンド市場の現状と展望~コスパ重視の旅行トレンドを背景に高まる日本の観光競争力 -
2025年03月25日
ますます拡大する日本の死亡保障不足-「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査<速報版>」より- -
2025年03月25日
米国で広がる“出社義務化”の動きと日本企業の針路~人的資本経営の視点から~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【中国の経済構造改革とは何か~日本にとってはピンチだけでなくチャンスも!】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
中国の経済構造改革とは何か~日本にとってはピンチだけでなくチャンスも!のレポート Topへ