- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 中国経済 >
- 中国経済はふたつの二極化が同時進行~日本企業への影響も二極化
2015年10月23日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
【要旨】
- 中国国家統計局は10月19日、7-9月期の国内総生産(GDP)を公表した。経済成長率は実質で前年同期比6.9%増と4-6月期の同7.0%増を下回り、経済成長が引き続き鈍化傾向にあることが明らかとなった。生産面から見ると第2次産業の不振が目立つ一方、第3次産業は堅調だった。また、需要面から見ると消費は堅調なものの投資の伸び鈍化が鮮明となった。
- 最近の景気10指標を見てもほぼ同様の動きを示しており、中国経済を総括すると経済構造の変化に伴ってふたつの二極化が同時進行していることがわかる。ひとつは“第2次産業の伸び鈍化”と“第3次産業の堅調(横ばい)”という二極化で、もうひとつは“投資の伸び鈍化”と“消費の堅調(横ばい)”という二極化である。
- ふたつの二極化が同時進行する中で日本企業への影響も二極化してきている。第2次産業の生産が落ち込んだことを受けて、鉱物資源の“爆買い”は影を潜め、工業部門で使う化学素材や部品などの需要も減って、それらを輸出していた日本企業の業績にも影響している。一方、消費の堅調を背景に、中国では食品・酒類や美容化粧スキンケア品などの輸入が急増、中国本土からの旅行者による“爆買い”も続いており、これらの輸出やインバウンド消費で恩恵を受ける日本企業が増えている。
- このふたつの二極化は、その背景に経済の構造的な変化があることから、一過性のものではなく今後も長く続くことになるだろう。また、消費の中身自体も店頭販売からネット販売へのシフトが起きており、投資の中身も製造業や住宅建設から環境対応や地下開発へのシフトが起きている。従って、今後の中国ビジネスを考える上では、経済成長率といった全体の動きだけを見るのではなく、経済構造の大きな潮流の変化に注目することが肝要と思われる。
(2015年10月23日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ
三尾 幸吉郎
三尾 幸吉郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/15 | 図表でみる世界の民主主義-日本の民主主義指数は上昇も、世界平均は低下。世界ではいったい何が起きているのか? | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/12/16 | 図表でみる世界のGDP-日本が置かれている現状と世界のトレンド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/07/30 | 図表でみる世界の人口ピラミッド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/04/05 | 不動産バブルの日中比較と中国経済の展望 | 三尾 幸吉郎 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【中国経済はふたつの二極化が同時進行~日本企業への影響も二極化】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
中国経済はふたつの二極化が同時進行~日本企業への影響も二極化のレポート Topへ