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- 【10月米住宅着工、許可件数】住宅着工は前月比2桁減となったものの、先行指標である住宅許可件数は堅調維持
2015年11月19日
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1.結果の概要:住宅着工件数が市場予想を下回り、前月比2桁の落ち込み
11月18日、米国センサス局は10月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は、106.0万件(前月改定値:119.1万件)となり、前月から小幅な減少に留まると見込んでいた市場予想の116.0万件(Bloomberg集計の中央値、以下同様)を大幅に下回った。この結果、着工件数の伸び(前月比)は▲11.0%(前月改定値+6.7%)となった(図表1、図表3)。
住宅着工に先行する住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は、115.0万件(前月改定値:110.5万件)とこちらは住宅着工とは対照的に、前月や市場予想(114.7万件)を上回った。この結果、住宅着工許可件数の伸び(前月比)は+4.1%(前月改定値▲4.8%)となった(図表2、図表5)。
住宅着工に先行する住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は、115.0万件(前月改定値:110.5万件)とこちらは住宅着工とは対照的に、前月や市場予想(114.7万件)を上回った。この結果、住宅着工許可件数の伸び(前月比)は+4.1%(前月改定値▲4.8%)となった(図表2、図表5)。
2.結果の評価:着工件数は前月比、前年同月比でマイナスも減少基調に転じる可能性は低い
住宅着工件数は、前月比で15年2月以来の2桁の落ち込みとなったほか、前年同月比でも15年3月以来のマイナスに転じており、悪天候の反動で急加速した春先からの回復ペースは鈍化したとみられる(図表3)。実際、15年6月には前年からの伸びが3割超となるなど、回復ペースがやや持続不可能な水準まで加速していたことを考慮すれば鈍化自体に驚きはない。
一方、住宅着工件数の内訳をみると、一戸建てが72.2万件(前月:74.0万件)、集合住宅が33.8万件(前月:45.1万件)と、10月は集合住宅の落ち込みが目立った。
次に、住宅着工件数(前月比)の地域別寄与度をみると、北東部+1.1%ポイント(前月:+1.5%ポイント)や中西部+1.8%ポイント(前月:▲0.5%ポイント)がプラスとなったものの、西部が▲4.1%ポイント(前月:+5.1%ポイント)と前月からの反動もあってマイナスに転じたほか、南部が▲9.7%ポイント(前月:+0.6%ポイント)となり、南部の落込みが目立った(図表4)。

一方、住宅着工件数の先行指標である住宅着工許可件数の伸びをみると、こちらも春先からは鈍化がみられるものの、前年同月比で依然としてプラスを維持しているほか、前月比でも10月はプラスとなっており、許可件数の改善基調は持続しているとみられる(図表5)。
さらに、住宅着工許可件数(前月比)の地域別寄与度をみると、住宅着工件数で大幅な落ち込みを示した南部が+3.7%ポイント(前月:▲3.4%ポイント)と、前月からプラスに転じており、南部地域の住宅着工が今後回復することを示唆している(図表6)。

このようにみてくると、住宅着工件数は、やや持続不可能なペースからは鈍化しているとみられるものの、先行指標である住宅着工許可件数は足元で底堅い動きとなっており、着工件数が下落基調に転換したことを示唆していない。
さらに、労働市場の回復が持続し雇用不安が後退していることや、低金利の持続等、住宅市場を巡る外部環境に変化がみられていないことも併せて考えると、住宅着工件数の下落基調転換の可能性は低いとみられる。
一方、住宅着工件数の内訳をみると、一戸建てが72.2万件(前月:74.0万件)、集合住宅が33.8万件(前月:45.1万件)と、10月は集合住宅の落ち込みが目立った。
次に、住宅着工件数(前月比)の地域別寄与度をみると、北東部+1.1%ポイント(前月:+1.5%ポイント)や中西部+1.8%ポイント(前月:▲0.5%ポイント)がプラスとなったものの、西部が▲4.1%ポイント(前月:+5.1%ポイント)と前月からの反動もあってマイナスに転じたほか、南部が▲9.7%ポイント(前月:+0.6%ポイント)となり、南部の落込みが目立った(図表4)。

一方、住宅着工件数の先行指標である住宅着工許可件数の伸びをみると、こちらも春先からは鈍化がみられるものの、前年同月比で依然としてプラスを維持しているほか、前月比でも10月はプラスとなっており、許可件数の改善基調は持続しているとみられる(図表5)。
さらに、住宅着工許可件数(前月比)の地域別寄与度をみると、住宅着工件数で大幅な落ち込みを示した南部が+3.7%ポイント(前月:▲3.4%ポイント)と、前月からプラスに転じており、南部地域の住宅着工が今後回復することを示唆している(図表6)。

このようにみてくると、住宅着工件数は、やや持続不可能なペースからは鈍化しているとみられるものの、先行指標である住宅着工許可件数は足元で底堅い動きとなっており、着工件数が下落基調に転換したことを示唆していない。
さらに、労働市場の回復が持続し雇用不安が後退していることや、低金利の持続等、住宅市場を巡る外部環境に変化がみられていないことも併せて考えると、住宅着工件数の下落基調転換の可能性は低いとみられる。
(2015年11月19日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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