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- 【韓国7-9月期GDP】MERS終息と景気刺激策により前期比+1.2%に回復
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2015年7-9月期の実質GDP成長率 は前期比(季節調整値)+1.2%となり、前期の同+0.3%から上昇したほか、市場予想 (同+1.0%)を上回った。7-9月期は輸出の低迷が続いたものの、前期に減少した民間消費がプラス転化したほか、政府支出や投資も上昇するなど、内需拡大が景気を押し上げた。
5-6月に感染が拡大したMERSは7月から終息に向かったために、デパート・大型スーパーなどの小売店、映画館・遊園地などのレジャー施設、飲食店の売上が持ち直し、7-9月期の民間消費は反動増(前期比)となった。一方、訪韓キャンセルが急増した外国人旅行者数は回復しているものの、未だMERS感染前の水準には届いていない。しかし、このまま持ち直しの動きが続けば、サービス輸出の改善が先行きの景気押上げ要因となりそうだ。
また景気下振れを懸念して、政府と中央銀行が早期に対策を打ち出してきたことも景気の押上げ要因となった。中央銀行が6月に政策金利を0.25%引き下げて過去最低の1.50%とし、政府が7月に決定した総額21.7兆ウォンの景気対策(11.8兆ウォンの補正予算)ではMERS・干ばつ対策や生活支援、投資促進策が盛り込まれており、7-9月期における政府支出や建設投資・設備投資の上昇に繋がったと見られる。
先行きは、観光業の回復が続くほか、10月に実施した「コリア・ブラックフライデー1」による消費拡大を受けて当面は景気回復が見込まれる。しかし、中国をはじめ世界景気の先行き不透明感は根強く、GDPの5割を占める輸出の持ち直しは見込みにくい上、4-6月期に悪化した消費者・企業のマインドは依然として低調な推移を示していることから、足元の景気刺激策の影響が剥落するにつれて景気の停滞が鮮明になると見られる。
(2015年10月23日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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