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- 【韓国1-3月期GDP】建設投資の拡大で前期比+0.8%に上昇
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1.1-3月期は前期比+0.8%
韓国銀行(中央銀行)は4月23日、2015年1-3月期の実質国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前期比(季節調整済)で+0.8%と、10-12月期(同+0.3%)から改善し、Bloomberg調査の市場予想(同+0.6%)を僅かに上回る結果となった。
2.レームダック化を避け、構造改革に取り組めるか
1-3月期も成長率(前期比)が4期連続の0%台となり、低成長から抜け出すことはできなかったが、今期の成長率は建設投資の改善で上昇しているように、昨年以降の一連の財政・金融政策は景気を下支えしてきたとも言える。
実際、住宅ローン残高は2月時点で前年比12.7%に急増、住宅価格指数は3月に前年比2.3%と回復傾向が続いており、不動産市場は好調である。今後もマンションの再建築の年限の短縮化によって建替え需要が生まれるなど建設投資の好調は続きそうだ。また、交易条件が急速に改善していることは好材料と言える。これは昨年からの資源価格下落の影響によって、輸入物価が輸出物価以上に下落したためである。交易条件の改善は、海外からの実質所得の流入をもたらし、個人消費の回復や企業収益の改善を通じた投資の拡大に繋がる。今後は、こうした資源安の恩恵に加え、昨年からの利下げ効果も徐々に内需に表れてくるだろう。
それでも国内は景気の不透明感は漂ったままである。韓国経済の低迷は、輸出の伸び悩みによって投資拡大や賃金上昇に繋がらないことが背景にある。輸出は先行きも最大の貿易相手の中国をはじめ新興国向けが鈍化すると見られ、伸び悩む状況は続くだろう。また、実質実効為替レートの通貨ウォンの高止まりは価格競争力の衰えを表しており、それと共に加速する海外移転は今後も輸出の足枷となりそうだ。
同国が持続的な景気回復を向かえるには、高齢化をはじめ構造問題の改革に取組む必要があるが、昨年に船舶事故で停滞した政治は大統領の側近の不正資金疑惑によって再び推進力を失うリスクが浮上している。2016年4月には総選挙を控えており、今後は与党内からの政権批判が強まることが見込まれるため、レームダック化する前に内閣改造など政治をうまく再スタートできるかは注目といえる。
(2015年04月24日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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