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- 約款の数字 1から1095まで-第10回 「1095日」について(入院給付金の支払限度日数)
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第10回のテーマは、医療保険や災害入院特約、疾病入院特約などにおける「入院給付金」の通算支払限度日数である「1095日」について。
通算支払限度日数は、現在1095日となっているが、これまで大きく変遷してきた。
【災害入院:特約保険金額を上限とした時期(1964年4月~)】
交通事故の増加を背景に、1963年7月、損保会社により交通事故傷害保険が発売された。
これを契機に1964年4月、生保会社から、統一商品として、交通事故による保障を含む、災害による死亡・障害・入院を保障する「災害保障特約」が発売された。
災害保障特約の入院給付金は入院日数に応じ、特約保険金(上限200万円)の0.5割(10日以上30日未満入院)~2割(90日以上入院)となっており、支払日数ではなく、特約保険金額を上限として支払われる仕組みであった。
【災害入院:特約保険金額を上限とするが、実質的通算支払限度日数は666日の時期(1969年2月~)】
その後、1969年2月には災害保障特約が改定され、現在と同様の入院1日当たりの給付となった。
入院給付金は、5日以上入院について、入院1日目から1日あたり特約保険金(最高500万円)の1.5/1000、同一の不慮の事故による入院について120日限度、特約保険金額を上限として支払われる。
したがって、通算支払限度日数としては666日(1000÷1.5)となる。
【災害入院:通算支払限度日数700日の時期(1976年3月~)】
1976年3月には、災害保障特約が災害による死亡を保障する災害割増特約、災害による死亡・障害を保障する傷害特約、災害による入院を保障する災害入院特約に分離された。
災害入院特約は、5日以上入院について入院1日目から1日あたり入院給付日額(最高2万円)を支払い、同一の不慮の事故について120日限度、通算700日限度となっていた1。
【疾病入院特約の通算支払限度日数(1981年10月~)】
1974年1月には、簡易生命保険に従来の「傷害特約」(1969年9月創設)に加えて「疾病傷害特約」が創設されて、20日以上の疾病による入院や手術が保障されるようになり、同年2月には住友生命が「手術給付金付疾病入院保障特約」を発売した(20日以上の疾病による入院や手術を保障)。
この後、疾病による入院・手術を保障する「疾病入院特約」も一般的となった2。
1981年10月、疾病入院特約は統一され、20日以上の入院に対し、入院1日目から入院給付金を支払い、1回の入院について120日限度、通算700日限度といった内容となった。
【医療単品の通算支払限度日数(1976年2月~)】
こうした特約での入院保障に対し、1976年2月、アリコ・ジャパン(現メットライフ生命)は日本初の医療保険(医療単品)として「疾病保険」を発売した。
この保険は、保険期間10年の無配当保険で、入院給付金は疾病を直接の原因として8日以上入院した場合、入院1日目から支払い、通算支払限度日数を730日(2年間)としていた3。
【現在の通算支払限度日数】
入院給付金の支払事由については、近年の入院の短期化に伴い、「1日以上の入院について入院1日目から支払う」という、いわゆる「日帰り入院」も保障するタイプが多くなっている。
また、入院1回についての支払限度日数は、かつては120日とされていたが、現在では、入院の短期化への対応や、保険料の低廉化のため、30日、60日、90日といった短期の設定や、顧客の選択肢拡大のための180日、360日等の長期の設定の双方が行われ、多様化している。
一方、通算支払限度日数は、従来、特約による保障では、災害入院給付金・疾病入院給付金各700日、医療保険(医療単品)では730日とされることが多かったが、現在は、医療保険、災害入院特約、疾病入院特約などとも最長1095日(3年分)までと拡大されている。
(2015年10月13日「研究員の眼」)
小林 雅史
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