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- 7月マネー統計~投資信託が久々に減速
■見出し
・貸出動向: 緩やかな増勢が続く
・主要銀行貸出動向アンケート調査: 大企業向け資金需要が増加
・マネタリーベース: 伸び率は鈍化傾向
・マネーストック: 投資信託が久々に減速
■要旨
日銀が8月10日に発表した貸出・預金動向(速報)によると、7月の銀行貸出(平均残高)の伸び率は前年比2.7%と前月(改定値2.5%)から拡大した。これまで同様、M&A向けや不動産向けが引き続き牽引役になった模様。今年に入ってからの銀行貸出の伸び率は1-7月の単純平均で2.6%となっており、昨年同時期平均の2.3%をやや上回っている。円安進行が外貨建て貸出の円換算額を押し上げている部分もあるため、最近の動向は若干割り引いてみる必要があるが、銀行貸出は長期にわたって年間2%~2%台半ば程度のペースでの緩やかな回復が続いている。
主要銀行貸出動向アンケート調査によれば、2015年4-6月期の(銀行から見た)企業の資金需要増減を示す企業向け資金需要判断D.I.は2と前回の1からわずかに上昇した。D.I.は小幅なプラス(すなわち「増加」が優勢な状況)が続いており、資金需要は緩やかな増加基調にある。前回に比べても増勢は若干強まった。
日銀による資金供給量を示すマネタリーベースの7月平均残高は前年比で32.8%の増加となった。前年比での伸び率は前月(同34.2%)からやや縮小。現行の金融政策におけるマネタリーベース増加目標は単純計算で月当たり6.7兆円増だが、7月月末残高の前月差は0.7兆円増とこれを大幅に下回る。7月は季節柄、日銀当座預金が増加しにくいという事情があるが、季節調整済みのマネタリーベース平均残高を見ても前月差5.9兆円増と、目標達成ペースをやや下回っている。
7月のマネーストック統計によると、市中通貨量の代表的指標であるM2平均残高の伸び率は前年比4.1%(前月改定値は3.9%)、M3は同3.3%(前月改定値は3.2%)と、それぞれ前月から伸びが拡大した。銀行貸出の増加と経常収支の改善などが影響したとみられる。一方、リスク性資産等を含めた広義流動性の伸び率は前年比4.3%(前月改定値は4.4%)と縮小した。残高が大きい投資信託ならびに外債の伸び率縮小が響いた。投資信託の伸び率縮小は8カ月ぶりとなるが、7月はギリシャ情勢や中国株安などで市場が不安定化したため、一旦家計のリスク回避姿勢が強まった可能性がある。
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03-3512-1870
(2015年08月11日「経済・金融フラッシュ」)
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