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- 家計調査15年6月~6月の個人消費は一段と弱い動き
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■見出し
・実質消費支出は予想外の減少
・夏のボーナス増、物価上昇率の低下に期待
■要旨
総務省が7月31日に公表した家計調査によると、15年6月の実質消費支出は前年比▲2.0%と2ヵ月ぶりの減少となり、事前の市場予想(QUICK集計:前年比1.8%、当社予想は同1.7%)を大きく下回る結果となった。
実質消費水準指数(除く住居等、季節調整値)は前月比▲0.9%と2ヵ月ぶりに低下し、4-6月期では前期比▲1.0%(1-3月期:同0.1%)と4四半期ぶりの減少となった。消費水準指数は依然として駆け込み需要が本格化する前の13年中の水準を大きく下回っている。
7月29日に経済産業省から公表された商業動態統計によると、15年6月の小売業販売額は前年比0.9%と3ヵ月連続で増加したが、5月の同3.0%から伸びが鈍化した。季節調整値では前月比▲0.8%と3ヵ月ぶりの減少となった。商業動態統計の販売額は金額ベースとなっており、ここにきて物価上昇率が低下していることが伸び率を押し下げる一因になっているが、物価上昇分を考慮した実質ベースの季節調整済・販売額指数(当研究所による試算値)でみても足踏み状態が続いている。また、日本百貨店協会の百貨店売上高(当研究所による季節調整値)は15年3月以降、4ヵ月連続で減少している。
6月の消費関連指標が弱かったのは天候不順の影響もあるが、それ以上に大きいのは消費税率引き上げの影響一巡後も実質賃金が伸び悩んでいることである。
今春闘で昨年を上回るベースアップが実現したことを受けて所定内給与(基本給)は15年度入り後若干伸びが高まったが、鉱工業生産の低迷などから所定外給与が減少に転じたため、現金給与総額(一人当たり)の伸びはそれほど高まっていない。15年5月の実質賃金(一人当たり)は前年比0.0%と25ヵ月ぶりにマイナス圏は脱したものの、消費税率引き上げの影響で大きく落ち込んだ14年度入り後と同水準にとどまっている。
夏のボーナスが支給される6月以降は名目賃金の伸びが高まること、原油価格下落を主因として夏場以降は物価上昇率がマイナスとなることが、家計の実質購買力の上昇をもたらし、このことが個人消費の押し上げに寄与することが期待される。ただし、中小企業も含めてボーナスが明確に増加するかどうかは不透明な部分があり、6月、7月の毎月勤労統計の結果を待つ必要がある。
(2015年07月31日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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