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人類滅亡、12のシナリオ-オックスフォード大学等の公表したレポートより
基礎研REPORT(冊子版) 2015年7月号

保険研究部 主任研究員 年金総合リサーチセンター・気候変動リサーチセンター兼任 安井 義浩
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今年2月中旬、「12 Risks That ThreatenHuman Civilization1」というレポートが公開された。報道では、「人類滅亡、12のシナリオ」などと紹介されているようだ。
このレポート作成に携わったのは、英国のオックスフォード大学やその傘下のフューチャーヒューマニティ研究所の科学者、スウェーデンにあるグローバルチャレンジ財団、そしてその他金融・経済の専門家などの錚々たるメンバーである。
その12のリスクとは…。
【現在進行中のリスク】
1.極端な気候変化
地球温暖化など極端な気候変化が引き起こす飢餓・社会崩壊
2.核戦争
以前懸念された全面核戦争の可能性は低くなったが、突発的に起こる可能性は、まだ無視できない。
3.世界規模のパンデミック
人々の往来の激しさ、速さは増しており、感染症が発生した場合、大流行する可能性が高まっている。
4.生態系の崩壊
環境汚染などにより、生物種が絶滅する速さが増す。
5.国際的なシステムの崩壊
世界経済がグローバル化して、経済危機や貧富の差が拡大し、社会混乱や無法状態をもたらす。
【外因的なリスク】
6.巨大隕石の衝突
衝突地域が全滅するだけでなく、生じる塵が地球を覆い、寒冷化や生態系の破壊をもたらす。
7.大規模な火山噴火
塵による日光遮断と寒冷化。それが飢餓や政治的混乱を引き起こす。
【新たなリスク】
8.合成生物学
人工的な病原体の生成など(映画「バイオハザード」)
9.ナノテクノロジー
小型核兵器の開発への転用
10.人工知能
制御不可能になった人工知能独裁者や膨大なロボットの出現(映画「ターミネーター」)
11.その他の全く未知の可能性
【国際政治のリスク】
12.政治の失敗による国際的影響
問題発生時、まずはその国で適切に対処しないと、問題が世界全体に拡がり、悪化させることに。
上記11.その他の未知の可能性の一例として、「人類を不妊にする超汚染物質の開発」「人工ブラックホールが地球を飲み込む」「動物実験により人類を超える知的生物が出現」「誰かが地球外生命(ET)にコンタクトし、危険な異星人(エイリアン)の注意を呼び寄せる」が、挙げてあった。過去にばかげていると評されたことが、現実の脅威となるケースもあるので、まずはどんな可能性も否定できない。
このあとレポートは、それぞれのリスクの関連性や、リスクを軽減できる可能性などについて述べている。例えば政治の失敗など人間のやることは、防ぐことは比較的易しい一方、隕石・噴火などは防ぎようがない。ただし被害を最小にはできる。最も厄介なのが、少し意外だが「人工知能」で、一旦暴れだしたら、人間には止められないから、とのことだ。
このレポートの狙いは、関係者が各種リスクの知識を得て、対応に向けた努力や協力を促すことであるという。
その際の態度や考え方として、最後に、以下の10項目が示されている。
1.世界規模のリーダーシップ・ネットワークを構築すること
2.リスク査定能力を育てること
3.危機探知システムを構築すること
4.極度に複雑な社会システムを視覚化すること
5.リスクを減らす正しい方策を強調して伝えること
6.あらゆる可能性に注意を向けること
7.巨大リスクへの関心を高めること
8.巨大リスクを明確に説明すること
9.地球規模のリスクに対する指標を政府が確立すること
10.「世界リスク機構」の設立
個人や企業ではどうにもならないリスクもあるが、対応の考え方については、企業の通常のリスク管理(特にエマージングリスク)の際、何かヒントにもなることもあると思う。
(2015年07月07日「基礎研マンスリー」)
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03-3512-1833
- 【職歴】
1987年 日本生命保険相互会社入社
・主計部、財務企画部、調査部、ニッセイ同和損害保険(現 あいおいニッセイ同和損害保険)(2007年‐2010年)を経て
2012年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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