- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- アジア経済 >
- 【インドGDP】1-3月期は前年同期比+7.5%~インフレ沈静化で消費が牽引役に
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
インドの2015年1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+7.5%の増加と、前期(同+6.6%)とBloomberg調査の市場予想(同+7.2%)を上回った。
1-3月期の景気回復は、GDPの約6割を占める個人消費が牽引役になった。消費者物価指数は1-3月平均で前年比5.3%と、年明けから原油価格が底入れしたにも関わらず、低水準を維持している。これが家計の実質所得を向上させ、個人消費の回復に繋がったと見られる。先行きの物価は昨年後半の原油価格下落の一巡によるベース効果やモンスーンの雨不足予報など上昇圧力が高まるが、中央銀行のインフレ目標(2016年度1月に6%)程度には収まると見られ、消費は堅調を維持しそうだ。
また1-3月期は投資が緩やかに改善した。これは直接投資や証券投資など海外からの資本流入が追い風になったと見られる。しかし、足元では銀行貸出が一層鈍化しており、民間投資の改善が続くとは考えにくい。銀行セクターは多額の不良債権を抱える厳しい経営状況にあるほか、7月以降は利下げが見込みにくく、貸出金利は継続的に引き下げられる環境下にはない。
さらに足元では株価の伸び悩みも目立つ。企業業績は政権発足から1年が経過した現在も低調であることや、税制改革法案や土地収用法の改正は上院での野党の厳しい抵抗を受けて7月の国会まで延期されるなど、新政権に対する過度な期待の剥落が株価に表れているように見える。株価が下落基調に入れば、企業の投資意欲が削がれる可能性がある。
公共部門は、1-3月期の歳出が乏しく、政府消費は鈍化した。しかし、4月には歳出が前年比+52.7%(投資支出は同+110.6%)と大きく増加しており、今後は2015-16年度予算において拡充されたインフラ向け支出が動き始めるなか、成長率は政府目標(8.0-8.5%)を目指すこととなるだろう。
(2015年06月01日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1780
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/16 | インド消費者物価(25年3月)~3月のCPI上昇率は+3.3%、約6年ぶりの低水準に | 斉藤 誠 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/08 | ベトナム経済:25年1-3月期の成長率は前年同期比6.93%増~順調なスタート切るも、トランプ関税ショックに直面 | 斉藤 誠 | 経済・金融フラッシュ |
2025/03/21 | 東南アジア経済の見通し~景気は堅調維持、米通商政策が下振れリスクに | 斉藤 誠 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/03/13 | インド消費者物価(25年2月)~2月のCPI上昇率は半年ぶりの4%割れ | 斉藤 誠 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【【インドGDP】1-3月期は前年同期比+7.5%~インフレ沈静化で消費が牽引役に】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
【インドGDP】1-3月期は前年同期比+7.5%~インフレ沈静化で消費が牽引役にのレポート Topへ