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- 鉱工業生産14年12月~3四半期ぶりの増産も在庫調整圧力は残存
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■見出し
・10-12月期は3四半期ぶりの増産
・在庫調整圧力が残り、生産の回復ペースは緩やかにとどまる公算
■要旨
経済産業省が1月30日に公表した鉱工業指数によると、14年12月の鉱工業生産指数は前月比1.0%と2ヵ月ぶりに上昇したが、先月時点の予測指数の伸び(前月比3.2%)、事前の市場予想(QUICK集計:前月比1.3%、当社予想は同1.5%)をともに下回る結果となった。出荷指数は前月比1.1%と小幅ながら生産の伸びを上回り、在庫指数は前月比▲0.4%と2ヵ月ぶりに低下した。
14年10-12月期の生産は前期比1.8%と3四半期ぶりの増加となった。業種別には、新型スマートフォンやタブレット端末向けの部品の増加などから電子部品・デバイスが前期比9.7%の高い伸びとなったほか、設備投資の回復を反映し、はん用・生産用・業務用機械が前期比1.0%の増加となった。また、消費税率引き上げ後の国内販売の急減による在庫積み上がりから大幅減産が続いていた輸送機械も前期比0.4%と小幅ながら3四半期ぶりの増加となった。一方、住宅投資の反動減が長引いていることを受けて、金属製品(前期比▲0.9%)、窯業・土石製品(同▲0.1%)は減少が続いた。
製造工業生産予測指数は、15年1月が前月比6.3%、2月が同▲1.8%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(12月)、予測修正率(1月)はそれぞれ▲1.5%、▲0.9%となり、生産計画が下方修正される傾向が続いている。
予測指数を業種別に見ると、1月はほとんどの業種が増産計画となっており、特にはん用・生産用・業務用機械(前月比19.7%)、情報通信機械(同11.2%)が二桁の高い伸びとなっている。2月は逆にほとんどの業種が前月比で減少となっているが、1、2月を均してみれば鉄鋼(1月:前月比▲0.4%→2月:同▲0.3%)以外の業種では増加基調となっている。
14年12月の生産指数を15年1月、2月の予測指数で先延ばし(3月は横這いと仮定)すると、15年1-3月期は前期比5.6%の高い伸びとなる。ただし、生産計画が大幅に下方修正される傾向が続いていること、12月末の在庫指数の水準が9月末比で0.2%の上昇となるなど在庫調整圧力が残っていることを考慮すると、生産の回復ペースは当面は緩やかなものにとどまる可能性が高い。
(2015年01月30日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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