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展望レポート中間評価、物価見通し下方修正へ-年前半は追加緩和の思惑が高まる。春闘、審議委員の人選に注目
総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次
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20日から日銀決定会合が開催される。金融政策の変更は予想されない。
今回は昨年10月末に示した経済・物価情勢の展望(展望レポート)の中間評価を行う。10月末時点から(1)15年10月に予定されていた消費税の引き上げが見送られ、(2)原油価格が半値の40ドル台に低下するなど状況が大きく異なっている。特に原油価格の低下で「2年で2%」の物価目標の達成が難しくなってきている。
(2015年度CPIは下方修正、成長率は消費税引き上げの先送りもあり据え置きか)
図表は、政府見通し(1/12日公表)、民間予想(1月時点)と日銀の昨年10月末の展望レポートの見通しである。今回日銀は、15年度のコアCPIを1.7%上昇から下方修正するだろう。ただし2年程度で2%を達成するとの旗は降ろさない。16年度は2%以上の数字を提示してくると見込む。15年度の実質GDPは原油安や15年10月に予定していた2回目の消費増税の延期などから1.5%増から上方修正するだろう。16年度も17年4月の消費税引き上げの駆け込み需要から上方修正が予想される。
結果として日銀が今回公表する見通し数値は、民間と比較して成長率は15、16年度ともに似たような水準になるが、物価の先行きの見通しは日銀が高めという従来の構図に変化はないと思われる。
(年前半は追加緩和の思惑が高まる。春闘、審議委員の人選に注目)
原油価格下落は、短期的には物価下押し要因となるため、民間では4月分コアCPIからゼロ%を割り込むとの見方もでてきている。日銀にとっては、今年前半に市場の追加緩和期待が高まりやすいという悩ましい問題が生じる。
原油価格の下落は家計の可処分所得を増やし、消費拡大、さらには物価押し上げに寄与すると予想されるとしても、その実績が表れるには時間がかかる。目先は、市場が原油価格で下がったコアCPIの水準を見て、再びデフレの危機に直面させないために日銀は追加緩和すべきと騒ぐはず。
物価が鈍化を続けても、年央までは少なくとも様子見というのが筆者のメインシナリオだが、先々物価が上がるという説明をしなければならない日銀にとって、期待インフレ率、賃上げ動向は最大の関心事だろう(昨年は10年ぶりの賃上げとなり今年の春闘でも2年連続のベースアップが実現しそうだ)。
また昨年10月末のハロウィン緩和時に、「2年2%達成のために何でもする」とした黒田総裁にとって、ゼロ%近辺にまで落ちた物価をどう表現(良い物価下落論を展開してくるのか)するのか、ここもポイントだ。
さらに追加緩和の是非が決定会合でどう判断されるのか、今後の人選も重要だ。
3月と6月に宮尾審議委員と森本審議委員の二人の退任が予定されている。10月末の追加金融緩和が5対4で決まっただけに、新たに選ばれる委員が黒田金融政策に対してどういうスタンスなのか、学者枠・実業界枠が引き継がれるのか、また安倍政権が掲げる女性活躍推進から女性委員となるのかなど、いろいろな思惑が重なりそうだ。
(2015年01月15日「研究員の眼」)
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03-3512-1837
- ・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員
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