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2014年08月22日
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- 4~6月期のユーロ圏の実質GDPは前期比ゼロ成長に失速、ドイツも循環的な調整に天候やカレンダーなどの特殊要因が加わり、前期比0.2%のマイナス成長となった。
- ファンダメンタルズから考えて、ドイツ経済の落ち込みは一時的と見るのが自然だが、受注やZEW指数など先行性の高いサーベイ調査が大きく悪化し、その原因が「地政学的リスク」と説明されたことで、波紋が広がっている。
- ウクライナを巡るロシアとの対立が極めて深刻なものへと発展しない限り、ドイツ経済が、地政学的リスクによって大きな打撃を受けることは考え難い。ドイツにとってのロシア市場は、景気の基調を大きく変えるほどの規模ではなく、現段階ではEUの制裁・報復措置の範囲も限定されているからだ。
- しかし、この先、ウクライナを巡るロシアとの対立が解消しなければ、制裁と報復の領域がさらに広がる懸念は消えず、企業マインドの萎縮が長く続くおそれがある。また、冷戦終結以降、ドイツが結びつきを強めてきた中東欧は押し並べてロシアと深く関わっている。中東欧の景気減速を通じた間接的な影響がドイツに及ぶおそれもある。しばらくは注意深く見守る必要がある。
(2014年08月22日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
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