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- 新たな段階に入った欧米の対ロシア制裁-制裁と報復の応酬長期化、拡大のリスクに警戒が必要
■要旨
欧州連合(EU)が、マレーシア航空機撃墜事件を受けて、対ロシア制裁の段階を引き上げ、制裁の領域を銀行の資金調達、軍需、エネルギー分野に拡大した。EUの経済面でのロシアとの結びつきは、米国に比べて遥かに緊密で制裁の代償も大きくなる。これまでのEUの対ロシア制裁は、米国と歩調を合わせつつ、より慎重な姿勢をとってきたが、今回の措置で温度差はかなり縮まった。
欧米の制裁が新たな次元に入ったとは言え、全面的な制裁に踏み切った訳ではなく、即座に大きな影響を及ぼすことはない。
ロシア経済には豊富な天然資源、強固な財政基盤、経常黒字と高水準の外貨準備など脆弱な新興国とは異なる強さ、言わば制裁への耐性がある。制裁強化が、欧米が望むようなウクライナ情勢の安定に向けたロシアの歩み寄りにつながらず、欧米とロシアの間で制裁と報復の応酬が長期にわたり、じわじわと拡大するリスクがある。
日本も制裁強化で欧米と歩調を合わせた。経済への直接的な影響は限定的だが、外交への影響は広がる懸念がある。欧米とロシアの制裁と報復が長期化・拡大すれば、経済面でも間接的な影響は大きくなる。今後の動向に目配りが必要だ。
(2014年08月08日「基礎研レター」)
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03-3512-1832
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
伊藤 さゆりのレポート
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